1969年の自転車競技

1969年の自転車競技界：メルクスの活躍と変革の年

1969年は、自転車競技界において数々の重要な出来事が起こった年でした。ロードレース界では、エディ・メルクスがツール・ド・フランスで前人未到の偉業を達成した一方で、ジロ・デ・イタリアでの失格騒動が波紋を呼ぶなど、ドラマチックな展開が繰り広げられました。また、競輪界では、高原永伍選手が数々の記録を打ち立て、新たなスターが誕生しました。この年は、競技の形式や体制にも変化が見られ、自転車競技界にとって大きな転換期となりました。

ロードレース

エディ・メルクスのツール・ド・フランス3冠達成

1969年のツール・ド・フランスは、エディ・メルクスの圧倒的な強さが際立った大会でした。彼は総合優勝に加え、ポイント賞と山岳賞も獲得し、ツール・ド・フランス史上初となる3部門完全制覇を達成しました。この偉業は、2010年現在においても唯一の記録として残っています。メルクスは、この年のミラノ〜サンレモ、ロンド・ファン・フラーンデレン、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュといった主要クラシックレースも制覇し、まさに「無敵」の強さを誇りました。

ジロ・デ・イタリアにおけるメルクスの失格騒動

一方、ジロ・デ・イタリアでは、メルクスは第16ステージ終了後まで首位を走っていましたが、ドーピング検査で陽性反応が出たため、失格となりました。この失格劇は、当時の自転車競技界に大きな衝撃を与え、ドーピング問題に対する議論を巻き起こしました。

主要レース結果

ブエルタ・ア・エスパーニャ：ロジェ・パンジョン（フランス）が総合優勝。
ジロ・デ・イタリア：フェリーチェ・ジモンディ（イタリア）が総合優勝。
世界選手権プロロードレース：ハーム・オッテンブロス（オランダ）が優勝。
パリ〜ルーベ：ワルテル・ホデフロート（ベルギー）が優勝。
ジロ・ディ・ロンバルディア：ジャン＝ピエール・モンセレ（ベルギー）が優勝。

トラックレース

世界選手権自転車競技大会が開催されました。

競輪

高原永伍の活躍

1969年の競輪界は、高原永伍選手の活躍が目覚ましい年でした。彼は全日本競輪王戦を制し、史上初となる特別競輪通算10回目の優勝を達成しました。また、この年の賞金王にも輝き、競輪界のトップ選手としての地位を確立しました。

その他の主な出来事

秩父宮妃賜杯競輪：中川茂一（大阪）が優勝。
オールスター競輪：田中博（群馬）が優勝。
高松宮賜杯競輪：高原永伍（神奈川）が優勝。
競輪祭：全日本新人王戦は班目秀雄（福島）が優勝。

競輪界の変革

1969年は、競輪界にとっても変革の年でした。美濃部亮吉東京都知事の都営ギャンブル廃止表明を受け、後楽園競輪場での日本選手権競輪開催が終了しました。また、全国都道府県選抜競輪は、周辺住民の反対運動により開催中止となり、翌年には廃止されました。

シクロクロス

世界選手権自転車競技大会では、エリック・デ・フラミンク（ベルギー）がプロ優勝を果たしました。

誕生

この年には、後に活躍する多くの選手が誕生しました。

豊岡弘 (競輪選手)
アンドレア・ノエ (ロードレース選手)
フレデリック・マニェ (トラックレース選手)
池尻浩一 (競輪選手)
ホアン・リャネラス (トラックレース選手)
高木隆弘 (競輪選手)
児玉広志 (競輪選手)
イニィーゴ・クエスタ (ロードレース選手)
出口眞浩 (競輪選手)
三宅伸 (競輪選手)
阿部良之 (ロードレース選手)
住田修 (ロードレース選手)
小嶋敬二 (競輪選手)
有坂直樹 (競輪選手)
安藤康洋 (ロードレース&トラックレース選手)

死去

この年には、以下の選手が亡くなりました。

ジョルジュ・ロンス (ロードレース選手)
レオン・シウール (ロードレース選手)

まとめ

1969年は、エディ・メルクスの圧倒的な活躍と、ジロ・デ・イタリアでの失格騒動という対照的な出来事が起こった年でした。また、競輪界では高原永伍選手が記録的な活躍を見せました。この年は、競技の形式や体制にも変化が見られ、自転車競技界にとって大きな転換期となりました。

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