1970年フランスグランプリ

1970年フランスグランプリ：リントの勝利と波乱の展開

1970年のF1世界選手権第6戦、フランスグランプリは、7月5日にシャレード・サーキットで開催されました。当初はトゥールーズ近郊のアルビ・サーキットへの移転が計画されていましたが、資金調達に失敗したため、前年同様にシャレード・サーキットでの開催となりました。これは同サーキットにおけるF1世界選手権レースとしては3度目の開催でした。

エントリーリスト：期待と失望の入り混じる布陣

エントリーリストは前戦オランダGPとほぼ同様でしたが、いくつかの変化が見られました。ウィリアムズはピアス・カレッジの離脱により参加を見送り、ジョン・サーティースもエンジン不足のため欠場、次戦イギリスGPでの新型マシン完成を目指しました。一方、マクラーレンはインディ500での事故から回復したデニス・ハルムが復帰。アルファロメオ製エンジンからフォード・コスワース・DFVエンジンへと変更したマシンを駆りました。フェラーリはイグナツィオ・ギュンティが2台目のマシンで参戦しました。ロータスは当初、フランス人ドライバーのジャン＝リュック・サロモンを起用予定でしたが、開催直前のF3レースでの事故死により、アレックス・ソラー＝ロイグが急遽代役を務めることとなりました。

予選：イクスのポールポジション獲得

予選では、ジャッキー・イクスが今シーズン初のポールポジションを獲得しました。2番手には地元フランスのジャン＝ピエール・ベルトワーズがつけ、フロントローを独占しました。ヨッヘン・リントはコースの悪条件に苦しみながらも6番手、ジャック・ブラバムとともに3列目からのスタートとなりました。

決勝：波乱の展開とリントの優勝

決勝レースは、ポールポジションのイクスがウォームアップセッション中にバルブシートの破損を発見する波乱の幕開けとなりました。時間がないため応急処置のみでレースに臨みましたが、14周目にメジャーバルブの破損によりリタイア。3位を走っていたジャッキー・スチュワートも点火装置のトラブルでピットインを余儀なくされました。その後首位を走行していたベルトワーズもスローパンクチャーに見舞われピットイン、この隙を突いてリントがトップに立ちました。リントはその後も首位を譲ることなくチェッカーを受け、見事優勝。今シーズン3勝目を挙げ、ドライバーズランキングでもトップに躍り出ました。2位にはクリス・エイモン、3位にはジャック・ブラバムが入り、デニス・ハルムが4位、母国グランプリのアンリ・ペスカロロが5位に入賞しました。ダン・ガーニーも6位に入賞しましたが、これが彼の最後の完走となりました。

レース結果とその後

リントの平均速度は158.391 km/hを記録しました。ファステストラップはジャック・ブラバムの3分00秒75でした。ラップリーダーは、イクスが14周、ベルトワーズが11周、そしてリントが13周をリードしました。このレースの結果、リントはドライバーズランキングで首位に立ちました。

1970年フランスグランプリは、アクシデントと順位の変動が相次いだ、ドラマチックなレースとなりました。資金難による開催地変更問題や、ドライバーの事故死、そしてレース中の機械トラブルなど、様々な要素が絡み合い、記憶に残る一戦となりました。 様々な困難を乗り越えての勝利となったリントの活躍は、特に印象的でした。

もう一度検索