1972年のメジャーリーグベースボール

1972年のメジャーリーグベースボールに関する振り返り

1972年のメジャーリーグベースボール（MLB）シーズンは、数々の注目すべき出来事に満ちた年でした。この年は、4月15日にシーズンが開幕し、10月22日に全日程が終了しました。アメリカンリーグではオークランド・アスレチックスが西地区を制し、41年ぶり10度目のリーグ優勝を達成しました。対するナショナルリーグではシンシナティ・レッズが西地区を制覇し、2年ぶり6度目のリーグ優勝を手にしました。

ワールドシリーズではアスレチックスが4勝3敗でレッズを破り、42年ぶり6度目のシリーズ制覇を達成しました。

シーズンの初めに起きたストライキ

この年の開幕前、MLB史上初めてすべての球団の選手が参加するストライキが起こり、シーズンが始まる予定だった4月4日から9日間もの間試合が開催されませんでした。選手会とオーナー側との交渉が難航し、年金基金や健康保険の財源問題が焦点となっていました。結果として連邦政府の仲介によりストライキは終了しましたが、86試合が中止となり、選手は給与の補填を受けることもできませんでした。

球団移転

1972年はまた、球団移転の年でもありました。前年までワシントン・セネタースであった球団がテキサス・レンジャーズに改名し、アメリカンリーグ東地区から西地区に移動しました。その結果、西地区に所属していたミルウォーキー・ブルワーズは東地区に移転することになりました。これにより、ブルワーズの前身がシアトル・パイロッツであったために、東部にあるミルウォーキーが所属する不自然さが解消されました。

アメリカンリーグの戦い

アメリカンリーグの東地区では、ボストン・レッドソックス、ボルチモア・オリオールズ、ニューヨーク・ヤンキース、デトロイト・タイガースの間で激しい優勝争いが繰り広げられました。最終戦の直前まで混戦を極めましたが、タイガースが首位レッドソックスから逆転し地区優勝を果たしました。

一方、西地区では前年リーグ優勝を果たしたアスレチックスが、優れた投手陣を擁して再び優勝を勝ち取りました。投手陣の強さとともに、打線でもレジー・ジャクソンが活躍し、チームを牽引しました。

ナショナルリーグの戦い

ナショナルリーグでは、パイレーツが前年王者としてドミナントな成績を収め、地区優勝を果たしました。特にロベルト・クレメンテやウィリー・スタージェルが活躍し、彼らの存在がチームの勝利に貢献しました。西地区ではレッズが、改良されたチーム構成によって再び優勝を手にしました。特にジョニー・ベンチやピート・ローズ、トニー・ペレスがその活躍を支えました。

個人タイトルと記録

1972年も個々の選手の活躍が目立ちました。アメリカンリーグでは、ロッド・カルーが打率.318で首位打者を獲得し、ディック・アレンが37本の本塁打と113打点でその剛腕を見せました。ナショナルリーグにおいては、カブスのビリー・ウィリアムズが首位打者となり、ジョニー・ベンチが本塁打王および打点王となりました。また、エンゼルスのノーラン・ライアンが329奪三振を記録し、奪三振のタイトルを受賞しました。

ワールドシリーズの緊迫した戦い

1972年のワールドシリーズは、アスレチックスとレッズの間で行われました。このシリーズは緊迫した戦いとなり、最終的に第7戦まで進展しました。アスレチックスはジーン・テナスの活躍を受け、故障者を抱えながらも総力戦で勝利し、42年ぶりの世界一のタイトルを手にしました。テナスは4本の本塁打を放ち、シリーズMVPに選出されました。

クレメンテの事故死とその影響

1972年の最後には、ロベルト・クレメンテの悲劇的な事故が発生しました。彼は自らの故郷に対する人道的活動に従事している最中、飛行機事故で亡くなりました。この出来事はMLB界に多大な影響を与え、彼の功績を称えるためにロベルト・クレメンテ賞が設立されました。

このように1972年のMLBシーズンは、選手たちの活躍、球団移転、ストライキの影響、そして悲劇的な事故など、様々な面で記憶に残る年となりました。

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