1972年南アフリカグランプリ

1972年南アフリカグランプリ詳報：ハルムの復活とレブソンの初表彰台

1972年3月4日、南アフリカのキャラミサーキットで開催されたF1世界選手権第2戦、南アフリカグランプリ。このレースは、27台のマシンがエントリーし、激しい戦いを繰り広げました。前戦アルゼンチンGPから1ヶ月以上が経過していましたが、多くのマシンはブエノスアイレスからキャラミへ直接輸送され、エントリーリストに大きな変更はありませんでした。

注目すべきは、前戦を欠場していたマイク・ヘイルウッドの復帰と、新たなチームの参戦です。ヘイルウッドはサーティースから参戦し、事故による法的問題でアルゼンチンGPを欠場していたジャン＝ピエール・ベルトワーズもBRMチームに加わりました。さらに、ドイツのアイフェラント・キャラバンがF1に初参戦。ルイジ・コラーニが改造を施したマーチ・721をベースにしたアイフェラント・E21は、独特のフロントミラーとエアインテークが特徴でした。

南アフリカGP恒例の地元ドライバーの参加も見られました。デイヴ・チャールトン（ロータス）、ジョン・ラブ（サーティース）、ウィリアム・ファーガソン（ブラバム）らがそれぞれのマシンを走らせました。

予選では、前年度王者ジャッキー・スチュワート（ティレル）が平均速度191.875km/hでポールポジションを獲得。レガツォーニ（フェラーリ）、フィッティパルディ（ロータス）とフロントローを形成しました。

決勝レースは79周で行われ、スタートではハルムがトップに立ちましたが、すぐにスチュワートが逆転。レガツォーニはスタートで出遅れました。スチュワートは序盤からリードを広げますが、ハルム、フィッティパルディ、ヘイルウッドがその後に続きました。しかし、ハルムのマシンがオーバーヒートし始め、順位を下げていきます。ヘイルウッドは一時2位に浮上するも、28周目にマシントラブルでリタイア。その後、スチュワートも45周目にギアボックストラブルでリタイアしたため、フィッティパルディがトップに立ちました。

しかし、57周目にハルムが再びトップに立ち、そのままトップを守り切りました。一方、フィッティパルディは3位を大きく引き離して2位を確保。3位争いは、当初はクリス・エイモン（マトラ）が展開しましたが、マシントラブルにより順位を落とし、ハルムのチームメイトであるピーター・レブソンが3位表彰台を獲得しました。レブソンにとって、これはF1初表彰台という快挙でした。

ハルムは1時間45分49秒1で優勝。2位のフィッティパルディに14秒差をつけました。3位のレブソンはさらに12.7秒遅れでした。ハルムと同一周回で完走したのはアンドレッティとピーターソンのみでした。この勝利により、ハルムはドライバーズチャンピオンシップで6ポイントのリードを築きました。

このレースでは、ピーター・レブソンの初表彰台、マイク・ヘイルウッドの初ファステストラップ、カルロス・パーチェの初出走、アイフェラントの初参戦・完走など、多くの記録が生まれました。また、47歳88日で決勝に出走したジョン・ラブは、このレースがF1での最後のレースとなりました。

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