1981年のル・マン24時間レース

1981年ル・マン24時間レース：グループC前夜の一大イベント

1981年6月13日から14日にかけて、フランス・ルマンのサルト・サーキットで開催されたル・マン24時間レースは、1982年から導入される新たなレギュレーション(グループC)を目前に控えた、最後の激戦となりました。このレースは、グループ6(3リットル以上のマシン)の車両が先駆的に参加を認められた、転換期を象徴する大会でもありました。

ポルシェの圧倒的強さ

ワークスのポルシェチームは、新型ポルシェ・936/81を投入。インディ500用エンジンをベースに、予選で600馬力以上を発揮する改良型を搭載し、圧倒的な速さを誇りました。さらに、ポルシェ・944LMも参戦させ、グループC時代への布石をしっかりとした様子がうかがえます。一方、ロンドーチームも、フォード・コスワース・DFVエンジンを拡大した3.3リットルエンジンを搭載したマシンで対抗しました。

マツダの挑戦と苦闘

継続的なル・マン参戦を目指していた東洋工業(現マツダ)は、トム・ウォーキンショーとジャン・ロンドーという強力なドライバー陣とタッグを組みました。JUNをスポンサーに迎え、マツダ・RX-7・253でIMSA-GTOクラスに参戦。しかしながら、予選は通過したものの、決勝ではトラブルに見舞われ、両車ともリタイヤという結果に終わりました。本社の協賛も得られず、苦しい戦いを強いられた様子が伺えます。それでも300馬力まで向上したエンジンは、チームの努力を物語っています。

童夢の挑戦と惜敗

3年連続の参戦となった童夢は、当時F1でも珍しかったカーボンファイバーモノコックを採用したマシンで挑みました。しかし、予選ではサスペンショントラブルとエンジン不調に見舞われ、思うようなタイムを出せず。決勝でも事故に巻き込まれるなど、不運が続きました。高い技術力を示したものの、完走ならず、悔しい結果となりました。

予選と決勝

予選では、ポルシェ・936の圧倒的な速さが際立ちました。ジャッキー・イクスが3分29秒44という驚異的なタイムを記録し、ポールポジションを獲得しました。対するマツダは予選通過が目標でしたが、目標を達成しました。童夢は、予選で20位という結果に終わりました。

決勝は55台のマシンが出走。ポルシェ917やフェラーリ512BBといった往年の名車も参戦し、多くのファンを魅了しました。レースはポルシェ・936/81の独走状態。ジャッキー・イクスとデレック・ベル組は、燃費の悪さによる給油回数増加というハンデを克服し、長時間トップを走り続けました。一方マツダ、童夢両チームとも、機械トラブルによりリタイヤを余儀なくされました。

結果とその後

18台が完走したレースは、ジャッキー・イクスとデレック・ベル組のポルシェ・936/81が優勝を飾りました。平均速度201.065km/h、走行距離4825.348kmという圧倒的な記録です。このレースでポルシェ936/81が記録した燃費(1.8km/リットル)は、翌年から導入されたグループCレギュレーションのガイドラインにも採用されました。

このレースは、グループC時代の幕開けを告げる重要なレースとして、多くのドラマと技術革新が詰まった大会でした。ワークスチームの圧倒的な力、挑戦者たちの奮闘、そして次世代への技術的貢献、全てを凝縮した忘れられないレースとして、その歴史に刻まれています。

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