1986-1987シーズンのNBA

1986-1987 NBAシーズン：黄金時代の幕開け

1986-1987シーズンは、NBAの歴史において重要なターニングポイントとなるシーズンでした。数々の才能が開花し、同時に悲劇や世代交代の波が押し寄せ、リーグの勢力図を大きく塗り替えました。特に、ロサンゼルス・レイカーズとボストン・セルティックスによる、80年代最後のファイナル対決は、記憶に残る名勝負として語り継がれています。

悲喜こもごものドラフト

クリーブランド・キャバリアーズが全体1位でブラッド・ドアティを指名した1986年のドラフトは、期待と失望が入り混じる結果となりました。有望な選手たちが指名された一方で、薬物問題が深刻化し、リーグ全体に暗い影を落としました。ボストン・セルティックスから全体2位で指名されたレン・バイアスは、指名からわずか2日後に薬物乱用が原因で急逝するという悲劇に見舞われました。また、クリス・ウォッシュバーン、ウィリアム・ベッドフォード、ロイ・タープリーらも薬物問題でキャリアを大きく損ねています。

しかし、彼らの不祥事は、下位指名選手たちにチャンスをもたらしました。マーク・プライス、デニス・ロッドマン、ケビン・ダックワース、ジェフ・ホーナセック、ドラゼン・ペトロビッチなど、後にオールスターや殿堂入りを果たす選手たちが、2巡目以降の指名からスターダムへと駆け上がったのです。他にも、チャック・パーソン、ロン・ハーパー、ジョニー・ドーキンス、ジョン・サリーなど、多くの選手がこのドラフトでNBA入りを果たしました。

ネイト・マクミランやスコット・スカイルズのように、後にヘッドコーチとして活躍する人材も輩出しています。また、アルヴィーダス・サボニスやドラゼン・ペトロビッチのように、海外出身の優秀な選手がNBAに挑戦しましたが、ペトロビッチは交通事故で早世し、サボニスは冷戦の影響でNBA入りが遅れるなど、困難な道のりを歩むことになりました。

シーズン概要

前シーズンにファイナルに進出したヒューストン・ロケッツは、ラルフ・サンプソンの怪我により成績を落としました。一方、ロサンゼルス・レイカーズは65勝を記録し、リーグトップの勝率を誇りました。ダラス・マーベリックスはデレック・ハーパーの成長により地区優勝を果たし、インディアナ・ペイサーズはジョン・ロングとチャック・パーソンの活躍でプレーオフに復帰しました。

マイケル・ジョーダンは、1試合平均37.1得点を記録し、自身初の得点王に輝きました。また、シーズン通算で3041得点を記録し、ウィルト・チェンバレン以来の3000点越えを達成しました。しかし、シカゴ・ブルズはジョーダンの活躍とは裏腹に、チームとしての勝利には繋がらず、苦戦を強いられました。

プレイオフとファイナル

プレーオフでは、シアトル・スーパーソニックスが第7シードながらダラス・マーベリックスを破り、下位シードが上位シードを破るというアップセットを演じました。そして、ファイナルでは、ロサンゼルス・レイカーズとボストン・セルティックスが激突しました。

マジック・ジョンソンとラリー・バードという、NBAを代表するスーパースターが率いる両チームの対決は、まさに「黄金時代」を象徴するものでした。レイカーズはマジック・ジョンソンの活躍と、カリーム・アブドゥル＝ジャバーの円熟味、若手の台頭が融合し、リーグ最強のチームとして君臨しました。一方、セルティックスはベテラン中心のチーム構成で、怪我に苦しみながらもファイナルまで勝ち進みました。

ファイナルは、レイカーズが4勝2敗でセルティックスを破り、1980年代に入って4度目の優勝を果たしました。マジック・ジョンソンはファイナルMVPに選ばれました。特に第4戦では、マジック・ジョンソンが試合終盤に放った「ベビーフック」と呼ばれるショットが決勝点となり、劇的な勝利を収めました。

バード＆マジック時代の終焉

このファイナルが、ラリー・バードとマジック・ジョンソンが直接対決した最後のファイナルとなりました。セルティックスはその後、徐々に衰退期に入り、レイカーズも連覇を果たすことはできませんでした。しかし、彼らが築き上げたNBAの人気は、次世代のスーパースター、マイケル・ジョーダンへと引き継がれ、NBAは更なる高みへと飛躍することになります。

1986-1987シーズンは、NBAの歴史における重要な転換期であり、数々のドラマと才能が交錯した記憶に残るシーズンでした。

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