1988年の世界ラリー選手権

1988年のFIA世界ラリー選手権は、ランチア・デルタHF 4WDの圧倒的な活躍によって彩られたシーズンとなりました。全13戦で争われたこのシーズンで、マルティーニ・ランチアチームはシリーズを支配しました。

ランチアは、マニファクチャラーポイントが与えられる11戦中10戦で勝利を収めるという驚異的な成績を残しました。その中心となったのは、マルク・アレンとミキ・ビアシオンという二人のドライバーです。彼らはランチア・デルタHF 4WDの潜在能力を最大限に引き出し、その速さと信頼性を世界に示しました。シーズン中盤には、さらに進化したランチア・デルタ・インテグラーレが投入され、その圧倒的なパフォーマンスは、シリーズをさらにランチアの独壇場としました。

この活躍により、ビアシオンはドライバーズタイトルを獲得、アレンは2位という結果に終わりましたが、チームとして大きな成功を収めました。3番手ドライバーであるブルーノ・サビーもマニファクチャラーズタイトル獲得に貢献しました。また、ジョリークラブ所属のアレックス・フィオリオもランチアを駆り、ドライバーズランキング3位に入るなど、ランチア勢の強さは群を抜いていました。

ランチア以外のマニファクチャラーで勝利を収めたのは、フォード・モーターのみでした。ツール・ド・コルスでディディエ・オリオールがシエラRSコスワースを駆り優勝を飾りました。しかし、オリオールはドライバーズランキング6位、チームメイトのカルロス・サインツは11位と、ランチア勢には敵いませんでした。フォード勢で最高位となったのは、ラリースポーツ・スウェーデンのスティグ・ブロンクビストで、ランキング4位という結果でした。

1988年は、アウディがWRCから撤退した年でもあります。しかし、多くの小規模チームやプライベーターがアウディ・クワトロを使用し続け、その高い戦闘力を証明しました。その結果、アウディはマニファクチャラーズランキングで3位という健闘を見せました。

一方、マツダ・ラリーチーム・ヨーロッパは、ティモ・サロネンをエースドライバーに迎え、マツダ323 4WDで参戦しました。サロネンはランキング5位、チームはランキング4位と、上位に食い込む活躍を見せました。

ワークスドライバーとマニファクチャラーズによるタイトル争い以外にも、プロダクションカーによるFIAカップ選手権も開催されました。この選手権では、2年目のシーズンを迎えたマツダ323 4WDのパスカル・ギャバンが、ランチア・デルタを駆るホルヘ・リカルデやジョヴァンニ・デル・ゾッポを抑えて優勝を飾りました。

1988年のWRCシーズンは、ランチア・デルタの圧倒的な強さ、そしてフォードやマツダといった他マニファクチャラーの健闘、そしてプライベーターたちの活躍によって、非常に記憶に残るシーズンとなりました。各チームの戦略、ドライバーたちの技術、そしてマシン性能の競演が、この年のWRCを盛り上げました。

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