1988年の全日本F3選手権

1988年全日本F3選手権

1988年の全日本F3選手権は、3月12日から13日まで鈴鹿サーキットで開幕し、11月26日から27日に同じく鈴鹿で閉幕しました。このシーズンは全10戦が組まれ、選手権の頂点に立ったのは中谷明彦です。

シーズンの流れ

昨年のチャンピオン、ロス・チーバーは全日本F3000選手権に進出しました。また、ランキング2位の小河等もF3000に参戦を希望していましたが、開幕前に話がまとまらず、再びトムスでF3に出ることに。シーズンの途中でF3000への参戦も開始しました。新たに参戦したルーキーには、鈴鹿FJ1600チャンピオンの服部尚貴、筑波FJ1600チャンピオンの村松栄紀、1983年から1986年の全日本カートチャンピオンの野田英樹、イギリス・フォーミュラ・フォードで経験を積んだ黒沢琢弥が名を連ねています。

さらに、第6戦筑波からはFJ1600チャンピオンの金石勝智がF3デビューを果たしました。

主要な変更点

運営面でも注目すべき変更がありました。電機メーカーのパナソニックがシリーズの冠スポンサーとなり、賞金が増加。シーズンを通して進化を遂げたドライバーに贈られる「パナソニックMID（モスト・インプルーヴド・ドライバー）賞」も新設されました。また、前年から鈴鹿で開催されているF1日本グランプリのサポートレースとして、10周で行われるスプリントレース「Panasonic F3スーパーカップ」が実施されました。

レギュレーションの変更としては、決勝レースにおけるポイントシステムが見直されました。これまで10位までポイントが与えられていましたが、新たに6位までが入賞の「9-6-4-3-2-1点」制度が導入され、これにより競争が激化しました。また、ドライバー育成の観点から、全ての参加車両がブリヂストン製のラジアルタイヤを使用するワンメイク化が進められ、コスト設定も明確にしました。

無限エンジンの注目

特に話題になったのは無限エンジンのF3への参入です。ホンダの2000ccエンジンを基に開発されたF3用エンジン「MF204」は、ガラージュ・COXとの提携により、中谷明彦と佐藤浩二の2台で参戦しました。この年は開発テストとしての参加でしたが、それぞれチャンピオンとランキング2位を獲得するなど、無限エンジンの性能が早くも注目を集めました。

最終戦とその後

シーズン最終戦となった鈴鹿には、イタリアF3で活躍したマウロ・マルティニが注目のダラーラ・F388を携えて参戦しました。前年チャンピオンのレイナードシャシーは勝利を収めることができず、一方ラルト勢が全戦を制覇する結果に終わりました。

このシーズンでの活躍により、中谷や小河、アンドリュー・ギルバート＝スコットは翌年の全日本F3000での定期的なシートを獲得。野田英樹はイギリスに渡り、レース活動を続けることとなりました。また、黒沢琢弥は「パナソニックMID賞」を受賞しました。

全体として1988年の全日本F3選手権は、さまざまな新しい動きがあった年であり、競技のレベルも一層高まったといえるでしょう。

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