1992年のスポーツカー世界選手権

1992年スポーツカー世界選手権

1992年は、FIAスポーツカー世界選手権の40周年であり、最後のシーズンです。この年はグループC車両がC1とFIAカップという2つのクラスでタイトルを争い、全6戦が開催されました。開幕は1992年4月26日にイタリアのモンツァで行われ、締めくくりは10月18日にフランスのマニクールで行われました。各レースはル・マン24時間や鈴鹿1000kmなどの特別競技を除けば、全て500kmのレースでした。このシーズンの終了をもって、40年の歴史を誇るスポーツカーの世界選手権は一時中断し、再開は20年後の2012年から、国際自動車連盟（FIA）による世界耐久選手権として行われました。

開幕前の状況

1992年シーズンの開催は最初から懸念されていました。FIAはエントラント数の減少から選手権の中止を考慮しましたが、プジョーが多額の投資をしており、この年限りの大会を無駄にしたくなかったため、FIAに圧力をかけました。この結果、FIAは選手権の開催を決定しました。前年度に導入された3500ccの自然吸気エンジンはF1と互換性があり、この年も継続されました。これにより、ほとんどのチームが共通のエンジンを搭載し、新たに設けられた「FIAカップ」カテゴリーが誕生しました。C1クラスでは10または12気筒のエンジンを使用し、大半は工場チームによるサポートを受けていました。

C2クラスは廃止され、これによりマツダやポルシェは新たなエンジン設計が必要になりました。ポルシェはフットワークに供給していた3512エンジンを持っていましたが、重要な欠陥が見つかり、開発を行うことが困難でした。また、財政的な理由もあってシリーズには復帰しないと決定しました。

マツダは1991年にロータリーエンジンでのル・マン24時間優勝を果たしましたが、1992年シーズンではこのエンジンが規定上使用できなくなりました。そのため、マツダはブランドイメージの向上を図るために参加し、モディファイしたジャガー・XJR-14を使用した新たなマシンMX-R01を開発しました。

シーズンの展開

1992年のスケジュールは1991年12月に仮決定され、最初は10戦が予定されていましたが、最終的には8戦に縮小されました。また、ヘレス戦はサーキットの改修が間に合わずキャンセルとなりました。シルバーストン500kmレースでは、オーガナイザーが距離を約250kmに短縮するよう提案しましたが、トヨタは元の距離でのレースを選択しました。

シーズンのポイントシステムは、完走したトップ10のドライバーに対して20-15-12-10-8-6-4-3-1ポイントが与えられました。チームポイントは最上位車両にのみ与えられ、条件を満たさなかった場合は与えられないという厳格なルールがありました。

シーズン終了後

1992年シーズンが終わると、シリーズの将来に関する議論が続きました。プジョーの活動の持続や日産の新規参戦などの話題が挙がるものの、エントラント不足が深刻化し、結局FIAは1993年シーズンの中止を発表しました。これにより40年続いたスポーツカー世界選手権は終了を迎え、様々な国内選手権や地域選手権が残されることとなりました。

特に日本では全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権が開催されていましたが、こちらもエントラント数の不足で92年に終了。その後も受難の続く中、2004年、フランスのACOがヨーロッパ・ル・マン・シリーズやアメリカン・ル・マン・シリーズを立ち上げ、日本でも2006年には全日本スポーツカー耐久選手権が創設されました。最終的に、ACOは2010年にインターコンチネンタル・ル・マン・カップを開始し、これが2012年にFIA世界耐久選手権として再編されることで、スポーツカーの世界選手権が復活する運びとなりました。

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