1995年のラジオ (日本)

1995年の日本のラジオ放送は、年明け早々に発生した阪神・淡路大震災という未曾有の災害によって、その役割と重要性が改めて問われた一年となりました。

阪神・淡路大震災とラジオの役割

1月17日午前、兵庫県南部を襲った大地震は、関西地方を中心に甚大な被害をもたらしました。これを受け、大阪や兵庫県のラジオ局は直ちに通常番組を中断し、緊急の震災特別編成に切り替えました。NHK大阪放送局のラジオ第1をはじめ、民放各局もCM放送を取りやめ、被災地の最新情報や交通・ライフラインに関する情報、そして最も必要とされた安否情報などを、夜通し提供し続けました。

例えば、朝日放送の番組では、生放送中に地震が発生し、短時間の停電を乗り越えてすぐに被災情報の発信を開始。毎日放送の番組では、パーソナリティが被災地域からの移動中にタクシーから携帯電話で現地の状況をリポートするなど、メディアとして迅速な対応を見せました。NHK-FMでは、一週間にわたり安否情報を放送するなど、各局がそれぞれの方法で被災者支援に努めました。

この震災対応の中で、ラジオは情報の貴重なライフラインであることが広く認識されました。震災発生から約1ヶ月後には、神戸市に日本で最初の臨時災害放送局「FM796 フェニックス」が期間限定で開設され、地域に密着した細やかな情報提供が行われました。また、神戸が国際都市であることから、外国人向けの多言語による情報提供の必要性も痛感され、これが後の外国語FM放送局の設立へと繋がる契機の一つとなりました。さらに、地域内のきめ細かな情報提供が課題とされたことで、数年前に制度が整えられていたコミュニティ放送（コミュニティFM）が全国的に注目を集め、1996年以降、各地でコミュニティFM局の開局が相次ぐことになります。

その他の動き

この年、日本の放送界では他にもいくつかの変化が見られました。NHKでは、長年使用されてきた角ゴシック体のロゴマークが、丸ゴシック体に卵囲みのデザインに変更されました。また、渋谷にあるNHK放送センター内の常設施設「NHK展示プラザ」が「NHKスタジオパーク」としてリニューアルオープンしています。

放送局の商号変更もあり、岩手放送は「アイビーシー岩手放送」に、近畿放送は「京都放送」へと名称を変更しました。

新たな放送局と番組

1995年は、新たな放送局や番組が多く誕生した年でもあります。民放FM局としては、エフエム福島や、後のFM COCOLOとなる関西インターメディアが開局しました。地域情報に特化したコミュニティFM局も全国で10局が開局し、地域メディアとしての基盤が広がりました。

また、様々なイベントに合わせた期間限定のイベント放送局が12局開設されたほか、先述の阪神・淡路大震災に伴う臨時災害放送局も運用されました。

番組面でも、数多くの新番組がスタートしました。NHKでは「NHKきょうのニュース」や「土曜ジャーナル」などが放送を開始。民放では、TBSの「荒川強啓 デイ・キャッチ！」や「伊集院光 深夜の馬鹿力」、ニッポン放送の「ドリアン助川の正義のラジオ！ジャンベルジャン！」、TOKYO FMの「桑田佳祐のやさしい夜遊び」、文化放送の「SOMETHING DREAMS マルチメディアカウントダウン」など、後に人気を博したり話題となったりする番組が登場しました。一方で、長年親しまれた番組が終了するなど、時代の移り変わりを感じさせる一年でもありました。TOKYO FMでは、開局25周年を記念した長時間特別番組なども放送されています。

1995年は、阪神・淡路大震災という困難を通じてラジオの価値が改めて証明され、その後の放送のあり方に大きな示唆を与えたと共に、多くの新しい試みや展開が見られた、記憶に残る一年と言えるでしょう。

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