1997年のドイツ・スーパーツーリング選手権

1997年ドイツ・スーパーツーリング選手権：プジョーの独壇場

1997年のADAC[ドイツ・スーパーツーリング選手権]は、シリーズ4年目を迎えました。このシーズン、際立ったのはプジョーの圧倒的な強さでした。

プジョーの躍進

前年、シリーズ3位を獲得したプジョーは、2年目のシーズンに406を2台投入。ドライバーには、前年好成績を残したローラン・アイエロとSTW初参戦のヨルグ・ファン・オーメンを起用しました。

アイエロは開幕戦からその実力を発揮し、2連勝を飾るなど序盤からリードを築き、その勢いはシーズンを通して衰えることはありませんでした。最終的に、全20レース中11勝、17回の表彰台という驚異的な成績を収め、チャンピオンに輝きました。チームメイトのオーメンも、優勝こそ逃したものの、5回の表彰台を獲得し、ランキング4位と好成績を残しました。

BMWの挑戦

対するBMW陣営は、イタリアおよびイギリスのツーリングカー選手権で活躍したジョニー・チェコットとヨアヒム・ヴィンケルホックを起用しました。2人ともSTWチャンピオン経験を持つ実力者であり、ヴィンケルホックは5勝、チェコットは3勝と好成績を残し、それぞれランキング2位と3位を獲得しました。しかしながら、アイエロの勢いを止めるには至らず、プジョーの勝利を阻止することはできませんでした。

アウディの苦戦と撤退

アウディは、前年度チャンピオンのエマニュエル・ピロ、フィリップ・ピーター、タマラ・ヴィダリの3人を残留させ、イタリア選手権からイヴァン・ミュラーを新たに迎え入れました。しかし、結果は期待を裏切るものとなりました。優勝はピロが1勝のみ。ヴィダリとピーターは苦戦を強いられ、チームの期待に応えることができませんでした。このシーズンを最後にアウディスポーツはSTWから撤退し、翌年以降はセミワークスのアプト・スポーツラインなどへマシンを供給する形に変わりました。

シーズンを総括して

1997年シーズンのSTWカップは、プジョーの圧倒的な勝利で幕を閉じました。アイエロの活躍は群を抜いており、シリーズの歴史に名を残すシーズンとなりました。BMWも健闘を見せましたが、プジョーの勢いを止めるには至らず、アウディは苦戦の末にシリーズからの撤退を余儀なくされました。このシーズンは、STWカップにおけるメーカー間の勢力図が大きく変動した重要な転換期となりました。各チームの戦略、ドライバーの力量、マシンの性能、そして運などが複雑に絡み合い、ドラマチックなレースが繰り広げられたシーズンと言えるでしょう。それぞれのチーム、ドライバーの今後の動向にも注目が集まりました。

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