フィリップ・ピーター

フィリップ・ピーター：国際舞台で活躍したオーストリアのレーシングドライバー

フィリップ・ピーター (Philipp Peter, 1969年4月6日生まれ) は、オーストリア・ウィーン出身のレーシングドライバーです。現在はモナコに在住しています。日本での活動中は、ドイツ語の発音に倣い「フィリップ・ペーター」と表記されることも多かったようです。

華麗なるモータースポーツキャリア

ピーターのモータースポーツキャリアは、1985年、レーシングカートから始まりました。1988年には19歳でオーストリア・フォーミュラ・フォードにステップアップし、初年度から表彰台に2回立つなど、早くから才能を覗かせました。

その後、1994年にはドイツF3で初優勝を飾ります。翌1995年には日本へ渡り、全日本F3選手権に挑戦。ランキング5位を獲得し、第5戦鈴鹿ではファステストラップを記録するなど、活躍を見せました。全日本F3での活躍を経て、F3000へのステップアップを希望しましたが、シート獲得には至らず、フォーミュラカーからの引退を余儀なくされました。

フォーミュラカーレースと並行して、1995年にはドイツ・スーパーツーリング選手権にも参戦。プライベートチームMIGでアウディ・80クアトロを駆り、その経験を生かし、同年、全日本ツーリングカー選手権(JTCC)にもスポット参戦を果たしています。インターTECからHKSのチームメイトであるジャスティン・ベルと共に、アンソニー・レイドの代役としてオペル・ベクトラをドライブしました。

1996年にはツーリングカーレースに集中するため、アウディのワークスチームA.Z.Kに移籍。新しいアウディ・A4クアトロで1勝、3回の表彰台を獲得し、最終ランキング9位という好成績を残しました。チームメイトのエマニュエル・ピロがシリーズチャンピオンを獲得したシーズンでもありました。

続く1997年もドイツ・スーパーツーリング選手権に参戦を続けたものの、アウディ勢全体が前年を下回る成績に終わってしまいました。ピーター自身もランキング16位と低迷し、翌年からアウディワークスの参戦撤退という事態に直面します。これにより、アプト・スポーツラインやMIGモータースポーツといったプライベーターチームが参戦する状況へと変化していきました。

スーパーツーリング選手権と並行して、ピーターはポルシェ・911 GT2でFIA GT選手権にも参戦。コンラッド・モータースポーツやアンジェロ・ザドラから参戦し、フランツ・コンラッドとのコンビでロード・アトランタで表彰台を獲得するなど、その才能は多岐に渡って発揮されました。

1998年にはインディ・ライツに参戦、1999年には3勝を挙げシリーズ3位を獲得するなど、活躍を続けました。しかしながら、この2年間は共に、後年チャンピオンとなるオリオール・セルビアに遅れをとることになります。

スポーツカーレースでの活躍

ピーターはスポーツカーレースでもその才能を発揮し、ル・マン24時間レースやセブリング12時間レースで活躍しました。ル・マン24時間レースでは初出場でマルコ・ヴェルナー、ミハエル・クルムと共にアウディで総合3位を獲得。セブリング12時間レースではヴェルナー、フランク・ビエラとチームを組み、見事総合優勝を達成しています。

その後も、デイトナ24時間レースやセブリング12時間レースなど、世界を舞台に数々のレースで活躍。様々なチームを渡り歩きながら、その高いドライビングスキルと経験を活かし、多くの表彰台を獲得し続けています。2000年代に入るとFIA GT選手権を中心に活躍し、数々の勝利と表彰台を獲得しました。

2001年からはFIA GT選手権に本格参戦。ポルシェ・996 GT3 RSで複数のチームを転々とし、様々なチームメイトと勝利を掴みました。ポルシェスーパーカップにも参戦し、着実に結果を残し続けました。

2003年にはセブリング12時間レースで優勝、さらにFIA GT選手権や、ツーリングカー耐久選手権などにも参戦し、各レースで好成績を残しました。2005年にはFIA GT選手権に専念、マセラティMC12 GT1を駆り、スパ・フランコルシャン24時間レースとバーレーン24時間レースで2位を獲得しました。

2006年も様々なレースに参戦。ドバイ24時間レースでクラス優勝、デイトナ24時間レースでクラス準優勝など、その実力は衰えることなく、数々の表彰台を獲得しています。FIA GT選手権ではアストンマーティン・DBR9をドライブし、レース勝利も収めました。

2007年はヨーロッパとアメリカの主要な長距離レースに参戦。ドバイ24時間レースでは総合優勝を飾るなど、輝かしい成績を残しました。FIA GT選手権では複数のチームを転々とし、表彰台を獲得しました。ADAC GTマスターズでも活躍し、総合優勝を2回達成しました。

2008年もFIA GT選手権に参戦し、2009年にはル・マンシリーズとインターナショナルGTオープンに参戦しました。2014年11月、現役を引退しています。

プライベート

現在は妻と息子の3人でモナコで暮らしています。

まとめ

フィリップ・ピーターは、フォーミュラカーからツーリングカー、そしてスポーツカーと、幅広いカテゴリーで活躍した、まさにモータースポーツ界のレジェンドと言えるドライバーです。彼の華麗なるキャリアは、多くのレーシングファンに感動と興奮を与え続けています。日本でも活躍した彼の功績は、日本のモータースポーツ史にも刻まれています。彼の数々の勝利と表彰台は、彼の並外れた才能と情熱を物語っています。

もう一度検索