1997年のラジオ (日本)

1997年の日本のラジオ界

1997年は、日本のラジオ業界にとって、多くの動きが見られた転換期とも言える一年でした。既存の放送局では、本社機能の移転やネットワーク系列への新規加盟といった大きな変化が生じ、同時に全国各地で新たな放送局が誕生しました。番組編成においても活発な動きがあり、リスナーに多様なコンテンツが届けられました。

放送局の大きな動き

この年、特に注目された出来事の一つとして、ニッポン放送の本社移転が挙げられます。長年にわたり東京都千代田区有楽町に拠点を置いていた同局は、ビルの老朽化に伴い、3月24日に港区台場にあるフジテレビ本社ビルへ仮移転しました。この移転は、後の有楽町への再移転まで、同局の放送環境に一時的な変化をもたらしました。

また、放送ネットワークにおいても重要な動きがありました。香川県を主な放送対象地域とする西日本放送は、9月9日にジャパン・ラジオ・ネットワーク（JRN）に新たに加盟しました。これにより、既存の全国ラジオネットワーク（NRN）との間で、いわゆるクロスネット局としての体制を強化しました。続いて10月1日には、岡山県を対象とする山陽放送（現在のRSK山陽放送）も全国ラジオネットワーク（NRN）に加盟し、西日本放送と同様にJRNとNRNの双方に属するクロスネット局となりました。これらのネットワーク再編は、地方局の番組編成や情報伝達のあり方に影響を与えるものでした。

新たな放送局の誕生

1997年は、特に地域に根ざした情報発信を担うコミュニティFM局の開局が相次いだ年として記録されています。この一年間に、全国各地で合計22局ものコミュニティFM局が新たに産声を上げました。具体的には、岡山シティエフエム（Radio momo）、エフエムひらかた、高松シティエフエム（FM MARINO）、エフエム入間放送（現在のエフエム茶笛）、エフエムこんぴら、沖縄市エフエムコミュニティ放送、水戸コミュニティ放送（FMぱるるん）、エフエムキタ（ウメダFM Be Happy!789）、エフエム甲府、ラジオ高崎、葛飾エフエム放送、エフエムとよひら（FMアップル）、エフエムベイエリア（BAY WAVE）、大和ラジオ放送（FMやまと）、石巻コミュニティ放送（ラジオ石巻）、エフエムみしま・かんなみ（VOICE CUE）、エフエムムーヴ（FM MOOV KOBE）、富山シティエフエム、飛騨高山テレ・エフエム（Hits FM）、エフエム岡崎（エフエムEGAO）、エフエムむつ（FM AZUR）、エフエムしばた、エフエムやつしろ（かっぱFM）、鹿児島シティエフエム（フレンズFM）、沼田エフエム放送（FM OZE）、エフエム江戸川、新川コミュニティ放送（ラジオ・ミュー）といった多岐にわたる地域で放送が開始されました。これらの局は、地域社会に密着した情報や文化を発信する新たな拠点となりました。

また、民間放送局としては、4月1日に九州国際エフエム（現在のラブエフエム国際放送）が新たに開局しました。広域をカバーする国際放送として、特定の言語での情報提供や文化交流の役割を担いました。

番組の開始と終了

各放送局では、春と秋の改編期を中心に、数多くの新しい番組がスタートしました。NHKでは、ラジオ第1で『おはようラジオワイド』や『日曜バラエティー』などが始まり、ラジオ第2では『NHKラジオライブラリー』、NHK-FMでは音楽系の新番組として『ライブビート』や『ワールドロックナウ』などがラインナップに加わりました。民間放送でも意欲的な番組が登場し、TBSラジオではお笑いコンビ・爆笑問題による深夜の帯番組『爆笑問題カーボーイ』がスタートし、現在まで続く人気番組となりました。ニッポン放送では、深夜放送の代名詞ともいえる時間帯に『オールナイトニッポンDX』が加わったほか、『ジャニーズJr.アフタースクール恋の青春花吹雪』、『サタデートークバトル ザ・グッチーズ』、『お台場ラジオ会館』、『犬山犬子のポケモンアワー』など、多種多様なジャンルの番組がリスナーを楽しませました。

一方で、長い歴史を持つ番組を含め、いくつかの番組が惜しまれつつ放送を終了しました。例えば、岐阜放送の『ヤングスタジオ1431』や、NHKラジオ第2の『そろばん教室』などが1997年のうちに幕を閉じました。

まとめ

1997年は、ニッポン放送の本社移転や主要な地方局におけるネットワークの変更といった業界の構造に関わる出来事がありつつも、それ以上に多数のコミュニティFM局の開局に見られるように、地域メディアとしてのラジオの存在感が強まった一年でした。同時に、各局が新たな番組を企画・開始し、リスナーに向けた魅力的な放送を展開した、活気あふれる年であったと言えるでしょう。

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