1/32スケール

1/32スケール：模型の世界における多様な表現

1/32スケールは、模型の世界で広く採用されている縮尺の一つです。このスケールは、特に航空機、自動車などのプラモデル、鉄道模型、スロットカー、そしてメタルフィギュアといった幅広い分野で使用されています。その起源から、各分野での具体的な製品例、歴史的な背景までを詳細に解説します。

1/32スケールの概要

1/32スケールは、鉄道模型の1番ゲージから派生したとされており、1フィートを縮小した際の長さから、9.5mmスケールまたは3/8インチスケールとも呼ばれます。また、フィギュアの世界では、平均的な身長の男性を縮小した際の高さが約54mmになることから、54mmスケールとも称されます。プラモデルの分野では、小型の航空機や大型の自動車の再現によく用いられ、スロットカーにおいても主要なスケールの一つとして親しまれています。

各分野における1/32スケール

鉄道模型

1/32スケールのルーツとも言える鉄道模型では、1番ゲージという規格がこのスケールに対応しています。

プラモデル

ミリタリーモデル

欧米でプラモデルが普及し始めた1950年代には、既に1/32スケールの兵士フィギュアが存在していました。このため、1950年代から1960年代にかけて、モノグラム、レンウォール、ITCといったメーカーから、これらのフィギュアに合わせた1/32スケールのミリタリーモデルが発売されました。しかし、その後ミリタリーモデルの主流は1/35スケール|1_35スケールへと移行し、現在ではエアフィックスなどの一部メーカーを除き、1/32スケールのミリタリーモデルはあまり見られなくなりました。ただし、歴史フィギュアに関しては、現在でもHaT、イタレリ、マスターボックスなどから1/32スケール（54mm）の製品が発売されています。

航空機

1/32スケールの航空機モデルは、1960年代初頭にモノグラムがP-51をモデル化したのが始まりですが、本格的に普及したのは、レベルが1960年代後半に発売したスピットファイアMk.I、Me109F、P-40Eの3点でした。これらのモデルは、当時としては画期的なほど繊細なモールドと、コクピットやエンジンの再現度が高く、大きな人気を博しました。この成功を受け、ハセガワなど他のメーカーも1/32スケール航空機の開発に参入し、現在では多くのキットが存在します。1/32スケールでモデル化されるのは、主に第一次世界大戦や第二次世界大戦中の戦闘機、ヘリコプターなどの比較的小型の機体が多いですが、He111のような双発爆撃機や、F-14トムキャット、F-15イーグルのような現代のジェット戦闘機もモデル化されています。

自動車

1950年代から1960年代にかけては、エアフィックス、モノグラム、オーロラなどのメーカーから、鉄道模型の1番ゲージにスケールを合わせたり、スロットカーのボディを流用した1/32スケールの自動車プラモデルが多数発売されました。その後、乗用車は1/24や1/25スケールが主流となりましたが、トラック、トレーラー、バスなどの大型自動車は、現在でも1/32スケールで製品化されることが多いです。特に、エルエスが1980年代半ばに発売した1/32スケールのアンティークファッショナブルカーシリーズは、郷愁を誘う車種の選択と、組み立てやすさが人気を呼びました。このシリーズは後に1/32オーナーズクラブシリーズと改称され、エルエスの主力商品となりましたが、エルエスの倒産後はアリイ（現マイクロエース）が金型を引き継ぎ、新たな車種も開発されています。

まとめ

1/32スケールは、その多様性と表現力の高さから、模型ファンに長く愛されてきた縮尺です。それぞれの分野で、このスケールならではの魅力を楽しむことができます。

参考文献

日本プラモデル工業協同組合 編『日本プラモデル50年史』文藝春秋企画出版部、2008年。ISBN 978-4-16-008063-8。
『プラモデルカタログ2012』芸文社、2012年2月。ISBN 978-4-86396-180-7。

関連項目

* 模型用語一覧

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