1/35スケール

1/35スケールの世界：プラモデルの標準縮尺

1/35スケールは、プラモデルの世界で広く用いられる縮尺の一つです。特に戦車などのミリタリーモデルにおいて、事実上の国際標準スケールとして定着しています。このスケールは、精密なディテールと手頃なサイズを両立させ、世界中のモデラーに愛されています。

誕生と普及の歴史

1/35スケールは日本で生まれました。その起源は、1961年に田宮模型（現タミヤ）が発売した「パンサータンク」に遡ります。当時、電動走行モデルの需要が高く、車体にモーターや電池、ギアボックスを組み込む必要がありました。その結果、これらの部品のサイズから逆算された縮尺が1/35に近かったことが、このスケールが採用された理由です。

パンサータンクの成功をきっかけに、タミヤは1/35スケールで戦車モデルのシリーズ化を開始しました。初期の製品には、内部スペースを確保するために1/35よりも大きめに作られたものもありましたが、タミヤ製品の高い品質と充実したラインナップは、他のメーカーにも大きな影響を与え、徐々に1/35スケールを採用するメーカーが増加しました。1970年代以降、1/35スケールはミリタリーモデルの標準スケールとしての地位を確立し、現在ではアジアやヨーロッパの多くのメーカーが、戦車やフィギュアなどの製品を発売しています。

多様なジャンルへの展開

1/35スケールは、ミリタリーモデルだけでなく、様々なジャンルにも展開しています。

ミリタリーモデル

1960年代には、タミヤ以外にも複数のメーカーが1/35スケールのミリタリーモデルを発売していました。1970年代には、タミヤの1/35戦車シリーズが30種類を超え、品質も大幅に向上しました。さらに、電動走行を廃したミリタリーミニチュアシリーズも加わり、国内での普及が加速しました。1970年代半ばには、海外メーカーも1/35スケール市場に参入し、1990年代には東欧圏のメーカーも加わり、グローバルスタンダードとなりました。現在では、日本のメーカーだけでなく、中国や韓国のメーカーも積極的に製品開発を行っています。

恐竜モデル

タミヤは、恐竜を1/35スケールでモデル化した「恐竜シリーズ」と「恐竜世界シリーズ」を展開しています。初期のシリーズは比較的古い復元図を基にしていますが、後期のシリーズは映画『ジュラシック・パーク』などで一般化した新しいイメージで造形されています。また、海外メーカーからも1/35スケールの恐竜モデルが発売されています。

航空機モデル

航空機モデルでは、1/32スケール|1_32スケールが標準ですが、1/35スケールでもヘリコプターを中心に製品化されています。軍用車両とスケールを合わせる目的で、輸送用や攻撃用のヘリコプターが主にモデル化されています。過去には、マルサン商店などから1/35スケールの零戦も発売されていました。

艦船モデル

軍用車両にスケールを合わせた小艦艇の1/35スケールモデルも存在します。タミヤの「ピバー」やイタレリの小型潜水艇や魚雷艇などが製品化されています。

キャラクターモデル

1980年代には、タカラからアニメ『装甲騎兵ボトムズ』のアーマードトルーパーが1/35スケールで発売されました。近年では、『重装機兵レイノス』や『パワードール』などのゲーム作品に登場するメカや、バンダイの「U.C.ハードグラフ」シリーズなど、様々なキャラクターモデルが1/35スケールで展開されています。

まとめ

1/35スケールは、プラモデルの世界において非常に重要なスケールです。その歴史は、タミヤのパンサータンクから始まり、ミリタリーモデルを中心に、恐竜、航空機、艦船、キャラクターモデルなど、様々なジャンルで製品が展開されています。このスケールは、精巧なディテールと手頃なサイズを両立させ、多くのモデラーに愛されています。今後も、1/35スケールの製品は、プラモデル市場において重要な役割を担い続けるでしょう。

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