1/50スケール

1/50スケール：模型の世界における多様な表現

1/50スケールは、模型の世界で広く用いられる縮尺の一つです。特に、ダイキャスト製の建設機械模型でよく見られますが、かつては航空機プラモデルや、ソリッドモデルの標準スケールとしても採用されていました。このスケールは、メートル法を主に用いる国々で親しまれており、その使いやすさから様々な分野で活用されています。

1/50スケールの概要

1/50スケールは、主にヨーロッパのメーカーから発売されるダイキャストモデルに採用されています。1970年代頃までは、日本やヨーロッパのメーカーから航空機などのプラモデルも販売されていました。また、日本ではソリッドモデルの標準スケールとして定着しています。さらに、寸法の換算が容易であるため、1/1|1_100スケールと共に建築模型にも使われることがあります。

1/50スケールは、航空機や戦車などのプラモデルの標準スケールである1/48や、鉄道模型に由来するOスケール（1/43.5から1/48）に近いことから、これらの模型と組み合わせることも可能です。これにより、ジオラマ製作の幅が広がり、より多様な情景を表現できるようになります。

ダイキャストモデルの世界

1/50スケールのダイキャストモデルは、Conrad、Tekno、NZG、WSI、LionToysといったヨーロッパのメーカーから多く発売されています。これらの模型は、建設機械、タワークレーン、トラック、バスなど、実物を精巧に再現したものが多く、そのリアルな造形はコレクターの間で高い人気を誇っています。実物のメーカーが販売促進のために、顧客に配布する公式モデルとして作られることも多く、そのクオリティは非常に高いと言えます。また、アメリカでよく見られる金属プレス製の建設機械玩具に比べるとサイズは小さいですが、ヨーロッパでは子供向けの玩具としても人気があります。

プラモデルの歴史

1960年代には、日本で国際標準スケールである1/48がまだ普及していなかったため、1/50スケールのプラモデルが数多く作られていました。特に航空機プラモデルでは、マルサン商店、フジミ模型、田宮模型などが1/50スケールでシリーズを展開していました。マルサン商店は、日本で最初に国産プラモデルを発売したメーカーであり、1968年に倒産するまでに1/50スケールの航空機キットを、日本機と外国機を合わせて30点ほど製品化しました。

ただし、外国機のキットの多くは、アメリカのメーカーであるモノグラムやリンドバーグの1/48スケール|1_48スケールキットをコピーしたものでした。マルサンの倒産後、一部の製品は日本模型と富士ホビーに引き継がれて再発売されました。日本模型に引き継がれたものは、スケール表示を1/48に変更し、自社製の1/48スケール|1_48スケールキットと共に生産が続けられました。その一部は現在でも入手可能です。

フジミ模型は、1966年から1969年までに1/50スケールのジェット戦闘機とヘリコプターを10数点発売しました。しかし、1970年からは新規に開発する製品のスケールを1/48に変更し、従来の1/50スケールキットもスケール表示を1/48に変更しています。田宮模型も1963年から1967年までに1/50スケールの日本機を11点発売しました。1972年からは新製品の開発を1/48に移行し、旧製品のスケール表示の変更は行いませんでしたが、1978年には1/50キットは全てカタログから消えています。

ただし、五式戦、彩雲、九九艦爆、零式水観など、後期に発売された製品は、その後も何度か数量限定で再生産されています。また、今井科学、大滝製作所などからも1/50スケールの航空機キットが発売されていました。

戦車関連でも、1960年代から1970年代にかけて、エルエス、大滝製作所、今井科学などから1/50スケールの戦車キットが発売されています。大滝の製品は、同社の倒産後、1/48スケール|1_48スケールキットと共に有井製作所に引き継がれて再発売されました。

鉄道車両関連では、1960年代後半から1970年代にかけて、大滝製作所から蒸気機関車のキットが8点ほど、青島文化教材社から電気機関車のキットが7点ほど発売されました。1/50スケールは鉄道模型のOゲージに近い縮尺ですが、日本のOゲージ（及びOJゲージ）は1/45スケールが主流であり、スケールにして約10%の差があるため、これらのキットはOゲージでの走行を考慮しないディスプレイモデルとして作られていました。

青島の電気機関車は車体内部まで再現されていました。大滝の倒産後、蒸気機関車の金型は有井製作所（現マイクロエース）に引き継がれ、現在でも一部の製品は入手可能です。青島の電気機関車は、1990年代以降長らく生産が休止されていましたが、2011年11月からの復刻再生産が予定されています。

日本国外では、1960年代にフランスのエレールからジェット機とヘリコプターの1/50スケールキットが約20点、イタリアのアルティプラストからも第二次世界大戦時と戦後のイタリア機を中心に約10点発売されていました。アルティプラストの金型は後にチェコのSMERに移り、一部の製品は2000年代まで流通していました。

ソリッドモデルにおける1/50スケール

木材を削って飛行機や船などを作るソリッドモデルは、日本では1950年代に普及しました。プラモデルの登場後も、各地のソリッドモデルクラブを中心にプラモデルとは異なる独自の活動が行われています。図面を元にした自作が基本であるため、図面の作成が容易な1/50スケールが航空機ソリッドモデルの標準スケールとして採用されています。

まとめ

1/50スケールは、ダイキャストモデル、プラモデル、ソリッドモデル、建築模型など、多様な分野で活用されてきた縮尺です。特にダイキャストモデルにおいては、建設機械を中心に精密なモデルが数多く存在し、その高いクオリティはコレクターの間で人気を集めています。また、プラモデルの歴史においても、1/50スケールは重要な役割を果たしており、その製品の多くは現在でも入手可能です。1/50スケールは、模型の世界において、今後も様々な形で活用されていくことでしょう。

参考文献

- 日本プラモデル工業協同組合編『日本プラモデル50年史』文藝春秋企画出版部、2008年12月。ISBN 978-416008063-8。

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