2007年の航空

2007年の世界の航空業界は、技術革新、市場の変化、そして複数の悲惨な事故という多様な出来事が交錯した一年でした。新たな時代の到来を告げる大型機の商業運航開始や、格安航空会社（LCC）の勢力拡大が見られた一方で、安全確保の重要性が改めて問われることになりました。

年明け間もない1月1日、インドネシアのスラウェシ島沖で、アダム航空574便（ボーイング737型機）が消息を絶ち、乗客乗員102名全員が犠牲となる悲劇に見舞われました。後に機体の一部が発見され、事故原因は慣性航法システムの不具合と、それに伴うパイロットの不適切な操作が複合したものと結論されました。

軍事航空分野では、中国とパキスタンが共同開発した単座多用途戦闘機FC-1（JF-17）のパキスタンでの組み立てが1月に始まり、両国の航空機開発協力が進展しました。また、アメリカ空軍の最新鋭ステルス戦闘機F-22Aラプターが2月17日、初の国外配備先として日本の嘉手納基地に展開しました。

商業航空市場では、新たな動きが相次ぎました。ロシア初のLCCであるスカイ・エクスプレスが1月29日に運航を開始。アメリカでも、ハワイを拠点とするgo!が4月17日に、ヴァージン・グループのアメリカ本土LCC、ヴァージン・アメリカが8月8日にそれぞれ運航を開始し、LCCモデルの世界的な拡大と競争激化が顕著になりました。

航空連合の動きも活発でした。日本の日本航空（JAL）が4月1日に「ワンワールド」に正式加盟し、国際的なネットワークを強化しました。年末の12月12日には、中国の主要航空会社である中国国際航空と上海航空が、世界最大の「スターアライアンス」に加盟し、中国市場におけるスターアライアンスのプレゼンスを大きく高めました。

しかし、この年も複数の痛ましい事故が発生しました。9月1日には、ポーランドのラドム航空ショーで曲技飛行チームの2機が空中衝突し、パイロット2名が死亡。9月16日には、タイのプーケット国際空港でワン・トゥー・ゴー航空の旅客機が着陸に失敗、炎上し、82名が犠牲となる重大事故となりました。これらの事故は、航空安全管理の絶え間ない改善の必要性を改めて浮き彫りにしました。

また、9月3日には、約90年の歴史を持つアメリカの水上機専門航空会社、チョークス・オーシャン・エアウェイズが運航を停止しました。これは、歴史ある航空会社の一つがその長い歴史に幕を下ろした出来事でした。

技術の進歩を象徴する出来事として、10月25日には世界最大の民間旅客機であるエアバスA380が、シンガポール航空の運航によりシンガポール-シドニー間で初の商業飛行を成功させました。この総2階建ての巨大機は、将来の大量航空輸送の可能性を示すものとして大きな注目を集めました。

文化的な側面では、この年の国際航空連盟（FAI）ゴールド・エア・メダルは、月面着陸を果たした宇宙飛行士ユージン・サーナン氏に贈られました。

総じて、2007年は航空業界にとって、技術的な進歩と市場の変化が進行する一方で、安全という根源的な課題に直面した一年でした。新規参入や大型機の登場が未来への期待を抱かせる一方、過去の事故から学び、安全対策を強化し続けることの重要性が強く意識された年と言えるでしょう。

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