2009年欧州議会議員選挙 (リトアニア)

2009年リトアニア欧州議会議員選挙：低投票率と政党の変動

2009年6月7日、リトアニア共和国では欧州議会議員選挙が行われました。本稿では、この選挙における概要と結果について、詳細に解説します。

選挙の概要

この選挙は、欧州連合の立法機関である欧州議会の議員を選出するために行われ、リトアニアには12議席が割り当てられました（前回選挙より1議席減）。選挙制度は比例代表制（非拘束名簿式の最大剰余ヘア方式）で、有効得票の5％以上を獲得した政党のみが議席を配分されました。全国を1選挙区として、有権者は政党リストから1票を投じ、最大5名まで候補者を選考投票することができました。選挙権は18歳以上、被選挙権は21歳以上とされました。議員の任期は5年です。

選挙への参加

選挙には15の政党が参加し、各党8名から24名の候補者を擁立しました。選挙前の議席数は、祖国同盟＝リトアニアキリスト教民主党が2議席、労働党が5議席を有していました。

選挙結果：勢力図の変容

選挙の結果、6つの政党から12名の欧州議会議員が選出されました。注目すべきは、祖国同盟＝リトアニアキリスト教民主党が議席数を4議席に倍増させた一方、労働党は議席数を1議席に減らしたことでしょう。これは、リトアニアの政界における勢力図が大きく変化したことを示しています。

当選者プロフィール

当選者12名のうち、留任者は2名、新任者は10名でした。当選者には、元大臣や元市長など、豊富な政治経験を持つ人物が多数含まれています。また、学者やテレビ番組司会者など、多様な経歴を持つ人物も含まれており、リトアニアの社会を反映した顔ぶれと言えるでしょう。当選者名と所属政党、過去の主な経歴を以下に示します。

ライマ・アンドリキエネ（祖国同盟＝リトアニアキリスト教民主党）：元産業貿易大臣、元経済大臣
ユオザス・インブラサス（秩序と正義）：元ヴィリニュス市長
ヴィクトル・ウスパスキフ（労働党）：労働党党首、元経済大臣
アルギルダス・サウダルガス（祖国同盟＝リトアニアキリスト教民主党）：元外務大臣
ヴァルデマル・トマシェフスキ（リトアニア・ポーランド人の選挙運動）：ポーランド国籍
レオニダス・ドンスキス（リトアニア共和国自由運動）：ヴィータウタス・マグヌス大学政治学部教授、テレビ番組司会者、哲学者
ロランダス・パクサス（秩序と正義）：元大統領、元首相、元ヴィリニュス市長
ジグマンタス・バルチーティス（リトアニア社会民主党）：元財務大臣、元運輸通信大臣
ユスタス・ヴィンツァス・パレツキス（リトアニア社会民主党）：元外務副大臣
ヴィリヤ・ブリンケヴィチューテ（リトアニア社会民主党）：元社会保障労働大臣
ラドヴィレ・モルクーナイテ（祖国同盟＝リトアニアキリスト教民主党）：外務大臣顧問
ヴィータウタス・ランズベルギス（祖国同盟＝リトアニアキリスト教民主党）：元最高評議会議長、音楽家

低投票率：その要因

今回の選挙の投票率は20.98％と、前回を大きく下回り、リトアニア史上最低水準となりました。これは、2009年欧州議会議員選挙が行われた国の中でも、スロヴァキアに次ぐ低さです。

低投票率の要因としては、選挙日が大雨だったこと、大統領選挙直後だったことなどが挙げられています。また、大統領は、投票者の多くが党員であり、一般市民の関心が低かった可能性を示唆しました。

一方、バルト三国ではラトヴィア（53.7％）やエストニア（43.9％）で高い投票率が記録されました。これは、ラトヴィアでは地方選挙と同時開催だったこと、エストニアではインターネット投票が整備されていたことなどが要因として考えられます。

まとめ

2009年リトアニア欧州議会議員選挙は、祖国同盟の躍進と労働党の議席減少、そして異例な低投票率という、いくつかの重要な特徴を持つ選挙となりました。これらの結果は、リトアニアの政治情勢や国民の政治参加意識を理解する上で重要な示唆を与えてくれます。今後のリトアニアの政治動向に注目していく必要があります。

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