2010年の日本競馬

2010年の日本競馬界

2010年（平成22年）の日本競馬は、中央競馬（JRA）と地方競馬の双方で様々な変化や出来事が発生した年となりました。

中央競馬の主な動向

JRAでは、前年11月に主要な開催スケジュールが発表されました。大きな変更点としては、函館競馬場のスタンド改築が完了し、2年ぶりに夏の開催が再開されたこと、また中京競馬場が同年の高松宮記念終了後からスタンドの全面改築に入ったため、2011年まで使用できず、前年に続き変則的な開催日程となった点が挙げられます。中京の代替開催は京都競馬場が拡張開催することで対応し、また年初の小倉開催と年末の中京開催が入れ替えられました。

この年から、JRAで開催される平地重賞競走が全て国際競走となり、3歳クラシック競走にも外国馬の出走枠が設けられました。さらに、GIや重賞レースの本馬場入場曲が、岩代太郎氏による新たな楽曲に全面刷新されるなど、国際化と演出面での強化が進められました。

地方競馬の主な動向

地方競馬全国協会（NAR）は、3月に2010年度の詳細な開催日程を発表しました。ホッカイドウ競馬は前年までの札幌開催を休止し、本年度は門別競馬場でのナイター開催に集約されました。また、JBC実行委員会は2011年のJBC競走を大井競馬場でナイター開催とすることを発表しました。2012年度からはJRAの電話投票システム「PAT」で地方競馬の重賞を購入できるようになる見込みも示されました。

年間の主な出来事

年明け早々には、帯広競馬のばんえい競馬で史上最高配当となる1000万円を超える高額配当が記録されました。1月にはJRA史上最多となる9頭が絡む大規模な落馬事故が中山競馬場で発生し、複数の騎手が負傷。また、京都競馬場ではJRA史上3位となる高額三連単配当が記録されるなど、波乱も見られました。地方競馬では、大井競馬場で出走馬の取り違えという珍しいミスが発生しました。

春には、ヴァーミリアンが川崎記念をレコードタイムで制し、自身のGI最多勝利記録を更新、7年連続重賞制覇を達成しました。ドバイ国際競走にはウオッカ、レッドディザイア、ブエナビスタ、ローレルゲレイロ、グロリアスノアといった日本馬が遠征。ウオッカは直前に鼻出血を発症し引退が決まるというドラマがありましたが、レースではブエナビスタのシーマクラシック2着が最高着順でした。

武豊騎手は3月の毎日杯での落馬により骨折し長期離脱を余儀なくされましたが、夏には復帰を果たしました。また、5月には東京優駿（日本ダービー）で復帰を目指していた武豊騎手が復帰を断念する一方、優駿牝馬（オークス）ではアパパネとサンテミリオンがJRAのGI史上初の同着優勝という歴史的な出来事がありました。

夏から秋にかけては、オグリキャップの死去に伴い追悼競走が実施され、多くのファンが名馬を偲びました。地方競馬では高知競馬と福山競馬間で所属馬と騎手限定の交流競走が試みられました。コウエイトライが障害重賞8勝という新記録を樹立。また、最高馬体重勝利記録がクリーンによって更新されました。

秋には落馬事故が相次ぎ、岩田康誠騎手、横山典弘騎手、宮崎北斗騎手らが負傷しました。10月にはアパパネが秋華賞を制し、史上3頭目となる牝馬三冠を達成しました。地方競馬の東京大賞典が2011年から国際GIに格付けされることが発表され、地方競馬として初の快挙となりました。台風接近のためJRA東京競馬が開催中止となる影響もありました。

年末には、JRAが指定された5レースの1着馬を当てる「WIN5」（5重勝単勝式馬券）を2011年4月から導入することを発表しました。名馬ヴァーミリアンが引退し種牡馬入り。JBC競走では新たに牝馬限定の「JBCレディスクラシック」が創設されることが決まりました。船橋競馬では、発走のやり直しに関するトラブルで出走馬全頭が競走除外となる異例の事態も発生しました。年間を締めくくる有馬記念は、ヴィクトワールピサがブエナビスタとの激闘を制して優勝しました。

記録と表彰

この年も、多くの騎手や調教師が通算勝利記録などの節目を達成しました。JRAでは、横山典弘騎手が最高勝率、内田博幸騎手が最多勝利を獲得。調教師では、角居勝彦調教師が最多賞金と優秀技術、音無秀孝調教師が最多勝利に輝きました。NARグランプリでは、フリオーソが年度代表馬に選ばれました。

また、多くの競走馬が誕生し、残念ながらこの世を去った名馬たちも多数いました。マツリダゴッホ、スリーロールス、ウオッカ、コスモバルク、カネヒキリ、ローレルゲレイロ、ヴァーミリアンなど、多くの実績を残した馬たちがこの年で競走生活にピリオドを打ちました。

2010年は、国際化の推進、施設の改修、馬券発売方法の多様化といったJRAの構造的な変化に加え、地方競馬の活性化に向けた試み、そして様々なドラマや記録が生まれた、記憶に残る一年となりました。

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