2016年の鉄道

2016年（平成28年）は、日本の鉄道のみならず、世界の鉄道においても多くの出来事が起こった年でした。

最大の出来事としては、2016年3月26日に北海道新幹線の新青森駅～新函館北斗駅間が開業したことが挙げられます。これにより、本州と北海道が新幹線で結ばれ、所要時間が大幅に短縮されました。これに伴い、並行在来線である海峡線の一部区間（五稜郭～木古内間）がJR北海道から道南いさりび鉄道へ移管され、特急「スーパー白鳥」「白鳥」や寝台特急「カシオペア」、急行「はまなす」（定期列車）などが運転を終了しました。JR東海ではリニア中央新幹線の品川駅工事が着工され、次世代高速鉄道への動きも進展しました。

国内外で多くの新たな路線が開業、延伸しました。日本ではJR東日本の仙石線、南武線支線に新駅が開業したほか、東海道本線、山陽本線、鹿児島本線にも新たな駅が誕生しました。海外では、中国で多数の地下鉄路線が開通・延伸したほか、上海とイランを結ぶ長距離貨物列車が開通、台湾高速鉄道が台北～南港間を延伸しました。欧州では、世界最長となるスイスのゴッタルドベーストンネルが開通し、韓国ではSRTの運行開始や首都圏電鉄京江線の開業など、各地で鉄道ネットワークが拡充されました。

ICカードの利用範囲も大きく広がりました。日本の交通系ICカード全国相互利用サービスは、名古屋臨海高速鉄道、名古屋ガイドウェイバス、愛知高速交通（manaca導入）、叡山電鉄（PiTaPa導入）、熊本電気鉄道、仙台市交通局、能勢電鉄などで利用可能となり、日本の公営地下鉄全線で相互利用に対応完了しました。台湾でも台湾鉄路管理局でICカードの相互利用が順次拡大し、ほぼ全線で利用可能になるなど、国内外でキャッシュレス乗車が進みました。また、JR東海・西日本からは東海道・山陽新幹線におけるIC乗車システム導入が発表されました（クレジットカード決済が必須）。

車両面では、JR西日本の大阪環状線に新型車両323系が投入されたほか、JR九州のBEC819系、西武鉄道の40000系などが登場しました。一方で、JR東海からは国鉄型気動車キハ40系が引退し、国鉄型車両は211系の一部を残すのみとなりました。その他、各地で多くの車両が引退や譲渡により姿を消しました。新しい車両や列車は、阪神電気鉄道5700系やJR東日本HB-E210系、えちごトキめき鉄道ET122形「雪月花」などが鉄道友の会ブルーリボン賞・ローレル賞を受賞するなど、高い評価を受けました。

災害や事故、トラブルも多発しました。特に4月に発生した熊本地震は、九州の鉄道網に甚大な被害をもたらしました。九州新幹線で脱線事故が発生し、多くの在来線区間が不通となりましたが、関係各社の努力により、年内には大部分の区間で運転が再開されました。常磐線の一部区間も、東日本大震災以来不通となっていた区間が再開しました。しかし、福岡市では地下鉄七隈線延伸工事に伴う大規模な道路陥没事故が発生し、安全管理の重要性が再認識されました。海外では、イタリアや韓国で列車脱線・衝突事故が発生し、ベルギーのブリュッセルでは地下鉄駅でテロが発生するなど、痛ましい出来事もありました。

鉄道施設の安全に関わるトラブルとして、係員による遺失物着服や不正乗車、運転士のスマートフォン使用といった不祥事が報じられました。また、夏にはゲームアプリ「Pokémon GO」の流行に伴い、プレイヤーによる線路内侵入や危険行為が相次ぎ、鉄道各社が運営元にポケモンが出現しないよう要請するなど、社会的な影響も出ました。

この他にも、京都鉄道博物館がグランドオープンし、鉄道文化の発信拠点が登場しました。また、全国各地で多くの路線がダイヤ改正を実施し、利用者のニーズに合わせた運行体系の見直しが行われました。2016年は、鉄道が社会インフラとして進化し続ける一方で、安全性確保や新たな課題への対応が求められた一年と言えるでしょう。

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