2017年のテレビ (日本)

2017年のテレビ界の主な出来事

2017年の日本のテレビ業界は、多角的な動きを見せた一年となりました。新たな番組フォーマットの登場、長寿番組の変革、そして視聴者の視聴スタイルや情報伝達の変化に対応する様々な試みが行われました。

番組編成と改編

年明けには、恒例の正月特番が各局で放送されました。フジテレビ系の演芸特番『初詣!爆笑ヒットパレード』は放送50回を迎え、記念としてゴールデンタイムにも拡大放送されました。日本テレビ系『ぐるぐるナインティナイン』の人気企画「グルメチキンレース・ゴチになります!」には、渡辺直美さんと俳優の大杉漣さんが新メンバーとして加わり話題を呼びました。テレビ東京系の紀行バラエティ『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』では、初代旅人コンビの太川陽介さんと蛭子能収さんの最終回が放送され、大きな反響を呼びました。

春の改編期には、多くの番組がリニューアルや枠移動を実施しました。TBS系では、土曜深夜にグルメトークバラエティ『人生最高レストラン』が、朝日放送制作・テレビ朝日系では、所ジョージさんと林修さんの司会によるトークバラエティ『人生で大事なことは○○から学んだ』がレギュラー化されました。テレビ東京系では、好評だった特番をレギュラー化した『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』が放送開始となり、人気シリーズへと発展しました。フジテレビ系では、月曜深夜の『人生のパイセンTV』が終了し、火曜深夜に若手芸人による実験的なバラエティ『新しい波24』がスタートしました。また、日本テレビ系『ザ!世界仰天ニュース』が火曜夜に、TBS系『今夜くらべてみました』が水曜夜に、それぞれゴールデンタイムへ進出しました。テレビ朝日系では、週末夜の報道番組として『サタデーステーション』と『サンデーステーション』を新設するなど、報道体制の強化を図りました。

アニメーション分野では、テレビ東京系で放送された『けものフレンズ』が、深夜アニメとして異例の社会現象を巻き起こしました。フジテレビ系の『ちびまる子ちゃん』は原作連載30周年、フジテレビ系『サザエさん』は放送2400回を迎え、それぞれ記念スペシャルが放送されました。毎日放送制作・TBS系の日曜夕方アニメ枠が約9年の歴史に幕を閉じ、代わって土曜朝に新たな1時間アニメ枠「アニメサタデー630」が設けられました。

話題となった出来事

テレビ界外のニュースが番組に影響を与える場面も見られました。歌舞伎俳優・市川海老蔵さんに密着したドキュメンタリー特番では、乳がん闘病中の妻・小林麻央さんがインタビュー出演し、テレビ出演は闘病後初となりました。小林麻央さんはその後6月に逝去され、各局でその生涯を振り返る報道や追悼番組が放送されました。また、清水富美加さんの芸能界引退と出家表明は、出演予定だった番組の対応に追われる事態となりました。狩野英孝さんの淫行疑惑報道による謹慎処分や、松本伊代さんと早見優さんの線路内立ち入りによる書類送検など、タレントの不祥事が番組編成や放送内容に影響を与えるケースもありました。

報道分野では、石原慎太郎元東京都知事や森友学園・籠池泰典理事長の証人喚問がテレビで生中継され、全国的な関心を集めました。北朝鮮による弾道ミサイル発射事案の際には、各局が速報体制を敷き、午前中の定時番組を休止するなど、報道特別番組を編成しました。

特番では、TBS系『関口宏の東京フレンドパークII』が約6年ぶりに復活して好評を博し、フジテレビ系『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル』や日本テレビ系『24時間テレビ』などが例年通り放送されました。特に『24時間テレビ』は放送40回目を迎え、ブルゾンちえみさんがマラソンランナーを務めるなど、話題を呼びました。

人事と訃報

2017年は、テレビ業界に長年貢献してきた多くの著名人が亡くなりました。俳優の藤村俊二さん、渡瀬恒彦さん、野際陽子さん、歌手のムッシュかまやつさん、京唄子さん、ペギー葉山さん、平尾昌晃さん、作詞家の山川啓介さん、文化人の三浦朱門さんや阿部進さんなど、各界の功労者が逝去され、追悼番組が多数放送されました。特に、小林麻央さんの若すぎる死は大きな悲しみとともに報じられました。

アナウンサーの世代交代やキャリアパスの変化も目立ちました。日本テレビの水卜麻美アナウンサーが『スッキリ』のMCに、岩本乃蒼アナウンサーが『NEWS ZERO』のキャスターに異動するなど、キー局での主要番組の担当変更がありました。テレビ東京の大橋未歩アナウンサー、紺野あさ美アナウンサー、朝日放送の中村仁美アナウンサー、テレビ朝日の青山愛アナウンサー、宇佐美佑果アナウンサー、フジテレビの大島由香里アナウンサーなど、多くのベテランや中堅アナウンサーが局を退職し、フリーに転向したり新たな道へ進んだりしました。結婚や出産による休業・退職も多く報じられました。

業界の動向と記念

年間視聴率では、日本テレビが4年連続でゴールデン、プライム、全日の三冠王を獲得しました。また、TBSテレビはゴールデンタイムで10年ぶりに民放2位となるなど、各局で競争が繰り広げられました。

フジテレビがお台場に本社を移転して20周年、テレビ朝日が「テレビ朝日」という社名に変更して40周年、テレビ東京の系列ネットワーク「TXN」が発足して35周年など、各局やネットワークの節目の年でもありました。民間放送教育協会（民教協）も発足50周年を迎えました。

技術面では、NHK Eテレがバーチャルアナウンサーの実証実験を行うなど、新しい試みが報じられました。一方、複数の番組で放送表現に関する問題が指摘され、BPOが審議入りしたり、局が謝罪したりする事案も発生しました。

長年テレビを支えてきたスポンサーの動きも注目されました。東芝が、フジテレビ系『サザエさん』やTBS系『日曜劇場』といった長寿人気番組のスポンサーから撤退することを発表し、テレビを取り巻く環境の変化を象徴する出来事となりました。

2017年は、番組の多様化と再編、社会との関わり、そして多くの才能の活躍と別れが交錯する、記憶に残る一年となりました。

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