2019年のインディカー・シリーズ

2019 NTT IndyCar Series: 激動のシーズンと新たな時代の幕開け

2019年のNTTインディカー・シリーズは、シリーズの歴史において記憶に残る、変化の多いシーズンとなりました。ドライバーズタイトル、マニファクチャラーズタイトル争い、そして数々の変更が、このシリーズをさらにエキサイティングなものにしました。

シリーズを取り巻く環境の変化

まず大きく変わったのは、シリーズの放映権です。NBCスポーツが全米における唯一の放映権者となり、ABCとの分割放送は終了しました。これは、インディ500を含む主要レースの放映方法にも影響を与え、視聴環境にも変化をもたらしました。さらに、国際的なメディア権利の管理のため、インディカー・メディアという新しい部門も設立されました。燃料供給も変更され、長年公式燃料供給を行っていたスノコに代わり、スピードウェイが新たなパートナーとなりました。

スポンサーシップにおいては、NTTがシリーズタイトルスポンサーおよびインディアナポリス500の公式テクノロジーパートナーとなり、ベライゾン・コミュニケーションズの後を引き継ぎました。また、ファイアストンはタイヤサプライヤー契約を2025年まで延長し、シリーズの安定性を支えました。

シリーズ運営体制においては、ジェイ・フライがインディカー社長に就任するなど、組織的な変化も見られました。

参戦チームとドライバーの変遷

2019年シーズンは、チームやドライバーの顔ぶれにも大きな変化がありました。スタインブレナー・レーシングとハーディング・レーシングが協力してハーディング・スタインブレナー・レーシングを結成するなど、チーム体制の再編が行われました。メイヤー・シャンク・レーシングは参戦レース数を増やし、エド・カーペンター・レーシングとスクーデリア・コルサはエド・ジョーンズを起用しました。

最大のニュースは、マクラーレン・レーシングがフェルナンド・アロンソを起用してインディ500に参戦したことです。これは、マクラーレンのインディカー復帰を意味し、大きな話題となりました。また、ドラゴンスピードがインディカーにデビューし、ベン・ハンリーを起用しました。

ドライバーの変更も目立ちました。パトリシオ・オワードとコルトン・ハータがハーディング・レーシングからハーディング・スタインブレナー・レーシングに移籍するなど、ドライバーの所属チーム変更が相次ぎました。チップ・ガナッシ・レーシングはフェリックス・ローゼンクヴィストを獲得し、シュミット・ピーターソン・モータースポーツはマーカス・エリクソンを起用しました。レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングにはジョーダン・キングが参戦し、アンドレッティ・オートスポーツにはコナー・デイリーがインディ500に参戦しました。シーズン中盤以降も、オワードの他シリーズ参戦や、エリクソンのF1参戦など、ドライバー交代が続き、各チームの戦略がシーズンを通して変化しました。

レーススケジュールとポイントシステム

レーススケジュールにも変更がありました。フェニックスでのレースがキャンセルとなり、ロード・アメリカとの契約が延長されました。ラグナ・セカが3年契約でスケジュールに追加され、シーズン最終戦となりました。アイオワ300はナイトレースに戻り、ポコノ・レースウェイがスケジュールに復帰しました。サーキット・オブ・ジ・アメリカズも5年契約でスケジュールに追加されました。

ポイントシステムでは、ポールポジション獲得やラップリードなどに対するポイントが変更され、マニファクチャラーのポイント獲得条件も厳しくなりました。

シーズン結果

2019年シーズンのドライバーズチャンピオンはジョセフ・ニューガーデンが獲得し、マニファクチャラーズチャンピオンはホンダが獲得しました。インディアナポリス500はサイモン・パジェノが制覇し、ルーキー・オブ・ザ・イヤーにはフェリックス・ローゼンクヴィストが選ばれました。

2019年のNTTインディカー・シリーズは、シリーズを取り巻く環境、参戦チーム、ドライバー、レーススケジュール、ポイントシステムなど、様々な要素が変化したシーズンでした。これらの変化は、シリーズの進化と発展に貢献し、よりエキサイティングなレースを展開する基礎となりました。このシーズンは、インディカー・シリーズが新たな時代へと進むための重要な転換期となったと言えるでしょう。

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