2019年スリランカ大統領選挙

2019年スリランカ大統領選挙について

2019年11月16日に実施されたスリランカ大統領選挙は、同国の次期大統領を決定する重要な選挙でした。この選挙では、過去最多となる35名の候補者が立候補し、激しい選挙戦が繰り広げられました。最終的に、スリランカ人民戦線（SLPP）のゴーターバヤ・ラージャパクサ候補が勝利し、新たな大統領として選出されました。

主な候補者

選挙戦の中心となったのは、以下の2名の候補者でした。

ゴーターバヤ・ラージャパクサ: 元大統領マヒンダ・ラージャパクサの弟であり、SLPPの候補者。
サジット・プレマダーサ: 元大統領ラナシンハ・プレマダーサの息子であり、統一国民党（UNP）の副総裁。

この2名に加えて、僧侶、イスラム教徒、タミル人、女性など、多様な背景を持つ候補者たちが立候補し、国民の支持を訴えました。

各党の候補者選定の動き

スリランカ人民戦線 (SLPP)

SLPPは、地方選挙での勝利を受けて、大統領選挙に向けた候補者選定を本格化させました。党首であるマヒンダ・ラージャパクサは、大統領の再選制限により出馬できませんでした。そのため、彼の兄弟であるチャマル、バシル、ゴーターバヤの3名が候補者として検討されました。しかし、ゴーターバヤとバシルは二重国籍の問題を抱えており、当初は出馬が困難とされていました。

そのような状況下で、ゴーターバヤは「国民が支持してくれるのであれば出馬する」と表明し、党内を驚かせました。チャマルも大統領選への意欲を示唆しましたが、最終的にはゴーターバヤが出馬することとなりました。2019年4月にスリランカで連続爆破テロ事件が発生すると、ゴーターバヤは治安対策を訴え、支持を拡大しました。そして8月、SLPPは正式にゴーターバヤを大統領候補として擁立し、マヒンダが首相候補となることを発表しました。

統一国民党 (UNP)

UNPは、過去の選挙で他党の候補者を推薦してきましたが、2015年に推薦したマイトリーパーラ・シリセーナ大統領との関係が悪化し、党内では自党候補の擁立を求める声が高まっていました。党総裁のラニル・ウィクラマシンハ自身も出馬に意欲を示していましたが、複数の議員がサジット・プレマダーサの擁立を支持し、プレマダーサ自身も出馬の意思を表明しました。

党内が二分する中、国会議長のカル・ジャヤスリヤも出馬を表明しましたが、最終的にはプレマダーサが党内の支持を集め、2019年9月26日にUNPの正式な大統領候補として擁立されることが決定しました。ウィクラマシンハは党総裁に留まり、プレマダーサが大統領に就任した際には首相を務めることとなりました。

スリランカ自由党 (SLFP)

現職大統領であったSLFPのマイトリーパーラ・シリセーナは、当初は再選を目指す意欲を示していましたが、SLFP党員は、最終的に元SLFP党首マヒンダ・ラージャパクサが創設したSLPPを支持することを決定しました。

このように、2019年のスリランカ大統領選挙は、各党の思惑や候補者選定の過程、そしてテロ事件の影響など、様々な要素が絡み合った複雑な選挙戦となりました。ゴーターバヤ・ラージャパクサの当選は、スリランカの政治に新たな変化をもたらすこととなりました。

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