2022年ロシアのウクライナ侵攻のタイムライン (2022年5月 - 8月)

2022年ロシアのウクライナ侵攻タイムライン（2022年5月～8月）

2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、5月に入っても激しい戦闘が継続しました。この期間は、ウクライナ軍による反撃の試み、国際社会からの支援、そして民間人への影響が顕著になった時期です。

2022年5月

5月3日: ウクライナのゼレンスキー大統領は、2014年にロシアが併合したクリミア半島の奪還を目標に掲げました。これは、ウクライナが領土回復に向けて強い意志を示したものです。

5月5日: ウクライナ大統領府顧問は、米欧からの兵器支援が整う6月中旬以降に反転攻勢を開始すると発表しました。これにより、ウクライナ軍が本格的な反撃を準備していることが示唆されました。

5月6日: ウクライナの報道機関は、ロシア海軍のフリゲート艦「アドミラル・マカロフ」がウクライナの対艦ミサイル「ネプチューン」によって攻撃を受けたと報じましたが、ロシア政府はこれを否定しました。また、米国防総省も情報確認を避けており、この攻撃の真偽は不透明です。

5月7日: ロシア軍がルガンスク州の学校を空爆し、避難民約60人が死亡したとゼレンスキー大統領が発表しました。この事件は、民間人への攻撃が依然として続いていることを示しました。

5月8日: 米国大統領夫人のジル・バイデン氏がウクライナを訪問し、ゼレンシカ大統領夫人と会談しました。また、カナダのトルドー首相もウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談しました。G7首脳会議では、ウクライナ支援とロシア非難の声明が発表されました。さらに、アメリカ政府はロシアに対する追加経済制裁を発表しました。

5月9日: ロシアのプーチン大統領は対独戦勝記念日の演説で、ウクライナでの軍事行動を正当化しましたが、「戦争」宣言は見送られました。

5月12日: 国連難民高等弁務官事務所は、ウクライナからの難民が600万人を超えたと発表しました。これは、侵攻による人道危機が深刻化していることを示しています。

5月14日: プーチン大統領は、フィンランドのNATO加盟申請に警告を発しました。これにより、ウクライナ侵攻がヨーロッパの安全保障構造に大きな影響を与えていることが浮き彫りになりました。

5月15日: ウクライナ国防省は、ハルキウ北部からロシア軍を撤退させ、国境に到達したと発表しました。また、フィンランドはNATO加盟を申請する政府方針を決定しました。

5月16日: 集団安全保障条約（CSTO）首脳会議では、ネオナチ思想の拡散や一方的な制裁に反対する共同声明が発表されました。一方、スウェーデンもNATOへの加盟を正式に決定しました。

5月17日: ウクライナ軍は、マリウポリのアゾフスタリ製鉄所の部隊に撤退命令を出しました。ロシア国防省は265人の降伏を発表しました。これにより、マリウポリでの戦闘は事実上終結しました。

5月20日: ロシアのショイグ国防相は、プーチン大統領にアゾフスタリ製鉄所とマリウポリの制圧を報告しました。

5月21日: ゼレンスキー大統領は、ロシア軍を2月24日の侵攻開始前の状態に戻せば「勝利」だと述べました。一方で、ウクライナ国防省情報総局長は、クリミアを含めた全領土からのロシア軍撤退を求めて戦闘を継続する意思を表明しました。

5月22日: ウクライナ議会は、戒厳令と総動員令を90日間延長しました。また、ポーランド大統領がウクライナ議会で演説し、両国の一体化を訴えました。

5月23日: 世界経済フォーラム年次総会で、ゼレンスキー大統領はロシアからの企業撤退と経済制裁強化を要請しました。

5月24日: ロシア安全保障会議書記は、ウクライナでの作戦に期限はないと述べました。

5月25日: プーチン大統領は、占領地域でのロシア国籍取得要件を緩和する大統領令に署名しました。また、ロシアの志願兵の年齢上限を撤廃する法案が可決されました。

5月28日: ロシア国防省は、ドネツク州リマンを制圧したと発表しました。

5月29日: ゼレンスキー大統領がハルキウ州を訪問し、前線の兵士を激励しました。

5月31日: バイデン大統領は、ロシアとの戦争は求めず、ウクライナへの軍事支援は外交交渉力を高めるためだと表明しました。

2022年6月

6月1日: 米サイバー軍司令官が、ウクライナ支援のためにロシアへのサイバー攻撃を実施したと明らかにしました。これは、米軍がサイバー攻撃を認めた初のケースです。

6月3日: 侵攻開始から100日目を迎え、ゼレンスキー大統領は勝利を確信すると演説しました。

6月4日: ウクライナ東部のセベロドネツクで大規模な戦闘が発生しました。

6月5日: ドンバス地方で戦闘を指揮していたロシア軍の将官2人が戦死しました。

6月8日: ラブロフ外相は、ウクライナから穀物を盗んだという疑惑を否定しました。

6月15日: ウクライナ軍は、これまでの戦闘で多くの兵器を失ったことを明らかにしました。

6月16日: フランス、ドイツ、イタリアの首脳がキーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談しました。

6月17日: イギリスのジョンソン首相もキーウを訪問しました。

6月18日: ゼレンスキー大統領が南部ミコライウ州とオデーサ州を訪問しました。

6月22日: イギリス国防省は、ドネツク州の親露派武装集団の死傷者数が兵士全体の約55％に達していると分析しました。また、ロシア軍の戦死者が少なくとも3798人に達したとの推計も発表されました。

6月23日: EUは、ウクライナとモルドバを加盟候補国として認定しました。

6月24日: ウクライナ軍がセベロドネツクから撤退しました。また、アメリカが供与した高機動ロケット砲システム「ハイマース」の受領が発表されました。

6月25日: ウクライナ軍が「ハイマース」を実戦で使用したと発表しました。

6月27日: クレメンチュクのショッピングモールがロシア軍のミサイル攻撃を受け、多数の死傷者が出ました。

6月28日: 国連安全保障理事会が、クレメンチュクの攻撃に関する緊急特別会合を開催しました。

6月29日: ウクライナとロシアが大規模な捕虜交換を実施しました。また、NATOはスウェーデンとフィンランドの加盟議定書に署名することに合意しました。

6月30日: ウクライナ軍がズミイヌイ島を奪還したと発表しました。

2022年7月

7月1日: ロシア軍のミサイルがオデッサ州の住居ビルやリゾート施設に命中し、多数の死者が出ました。

7月3日: ルハーンシク州知事が、ウクライナ軍がリシチャンスクから撤退し、ロシアが州全域を掌握したと発表しました。

7月6日: ロシア国防相は、アメリカが提供したHIMARSを破壊したと発表しました。

7月9日: ウクライナ大統領府顧問は、「ハイマース」により過去2週間で約20カ所のロシア軍の弾薬庫を破壊したと発表しました。

7月11日: プーチン大統領が、ウクライナ国民のロシア国籍取得手続きを簡素化する大統領令に署名しました。また、ウクライナ軍は南部で反転攻勢を開始しました。

7月13日: 北朝鮮が、親ロシア派勢力が支配する「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を独立国家として承認しました。また、ウクライナとロシア、トルコ、国連による4者協議で、穀物海上輸送再開について大筋合意しました。

7月15日: ウクライナ国防省は、ここ数週間で30カ所以上のロシア軍の輸送拠点を破壊したと発表しました。

7月16日: イラン外相が、ロシアへの無人航空機供与を否定しました。また、イギリス国防省はロシア軍の攻撃規模が縮小していると分析しました。アメリカのシンクタンクも、ドンバスでのロシア軍の砲撃が減少していると指摘しました。

7月17日: ウクライナの航空会社が運航する輸送機がギリシャ北部で墜落しました。また、ロシア国防省はオデッサで「ハープーン」を、ドネツク州で「ハイマース」を破壊したと発表しました。ゼレンスキー大統領は、検事総長とSBU長官を解任しました。

7月20日: CIA長官は、ロシア軍の損害を推定しました。また、ウクライナ軍は、ヘルソン州のアントノフスキー橋を攻撃しました。

7月21日: イギリスのMI6長官は、ロシア軍が失速しているとの見解を明らかにしました。

7月22日: ゼレンスキー大統領がメルコスール首脳会議でのオンライン演説を拒否されました。また、ロシアがウクライナ領土を支配し続ける形での停戦は、更なる紛争拡大を招くと述べました。

7月23日: ロシア軍がオデーサの港をミサイル攻撃しました。これは、穀物輸出合意に反する行為であり、国際的な非難を招きました。

7月24日: アメリカ高官は、ロシア軍が「ハイマース」の破壊力をそぐために対応策を講じていると分析しました。また、アメリカのシンクタンクは、ウクライナ軍の「ハイマース」活用により、ロシア軍の大規模砲撃が阻害されていると指摘しました。

7月25日: ロシア連邦捜査委員会は、ウクライナ兵92人を「人類の平和と安全に対する罪」で起訴しました。

7月27日: ロシア国防省は、ウクライナ軍の指揮所などを破壊したと発表しました。トルコで船の安全な航行を監視する「共同調整センター」が開所されました。ウクライナのアレストビッチ大統領府長官顧問は、ロシア軍が戦略的防衛に注力していると指摘しました。また、イギリス国防省は、ワグネルが戦術的な前進に成功したと分析しました。

7月28日: イギリス国防省は、ウクライナ軍がヘルソン州で攻勢を強めていると分析しました。

7月29日: オレニウカの収容所への攻撃で、ウクライナ側の捕虜が多数死亡しました。

7月31日: ロシア軍兵士によるウクライナ軍捕虜への拷問疑惑が浮上しました。

2022年8月

8月1日: ミコライウ州がミサイル攻撃を受け、多数の被害が出ました。また、穀物生産・輸出企業「ニブロン」の創業者夫妻が死亡しました。

8月2日: ロシア最高裁が、アゾフ連隊を「テロリスト」組織に認定しました。

8月8日: ウクライナ保安庁は、レズニコフ国防相とブダノフ情報局長の暗殺を企てた容疑で男2人を拘束しました。

8月9日: クリミア半島のロシア軍基地で大規模な爆発が発生しました。ウクライナ政府はこの爆発について言及していませんが、ウクライナの特殊部隊が攻撃を行ったとの報道もあります。

8月10日: ドニプロペトロウシク州で、ロシア軍がザポリージャ原子力発電所の近くを攻撃し、民間人が死亡しました。また、ロシアの反戦活動家マリーナ・オフシャンニコワが起訴されました。

8月11日: ベラルーシの軍用飛行場で爆発がありました。ウクライナ空軍報道官は、ベラルーシのパルチザンがウクライナを助けていると述べましたが、ウクライナが関与したかは不明です。

8月17日: 国連事務総長がウクライナのリビウに到着しました。

8月18日: 日本政府が、モルドバに医療機器を提供する無償資金協力を決定しました。

8月19日: ゼレンスキー大統領が、国連事務総長、トルコ大統領と会談し、ザポリージャ原発の問題について協議しました。

このタイムラインは、2022年5月から8月にかけてのロシアによるウクライナ侵攻の主要な出来事をまとめたものです。この期間、戦闘は激化し、国際社会は支援と制裁を続け、人道危機は深刻化しました。今後の展開も引き続き注視していく必要があります。

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