2025年大韓民国大統領選挙

2025年大韓民国大統領選挙は、国の次期指導者、すなわち第21代大統領を選出するため、2025年6月3日に執行された選挙です。この選挙は、本来の任期満了に伴う2027年の実施予定から大幅に前倒しされることとなりました。

選挙前倒しの経緯

選挙が前倒しされた背景には、第20代大統領であった尹錫悦氏の弾劾と罷免があります。尹大統領は2024年12月3日に非常戒厳を布告しましたが、これが政治的な混乱を招き、弾劾訴追の手続きが進められました。2025年4月4日、憲法裁判所は尹大統領に対する弾劾を妥当と判断し、これにより尹大統領は罷免され、職を失いました。この異例の事態を受けて、新たな大統領を選出するための選挙が緊急に実施される運びとなりました。

選挙日程

尹大統領の罷免から間もない2025年4月8日、政府は閣議を開き、次期大統領選挙を2025年6月3日に実施することを正式に決定しました。国民の投票を促すため、同日は臨時休日と定められました。選挙に関わる主な日程は以下の通りです。

候補者登録申請：5月10日～5月11日（9時～18時）
在外投票所投票：5月20日～5月25日（8時～17時）
船上投票：5月26日～5月29日
事前投票：5月29日～5月30日（6時～18時）
* 本投票・開票：6月3日（6時～20時）

候補者の動向

主要な政党からは、複数の候補者が次期大統領の座を目指して名乗りを上げました。与党であった国民の力からは、党内予備選を経て金文洙氏が公認候補として確定しました。金氏は一度公認を取り消されたものの、その後の党員投票で候補者交代案が否決されたことにより、再び公認候補となりました。国民の力からは他に、韓悳洙氏（後に辞退）、羅卿瑗氏、安哲秀氏、劉正福氏、李喆雨氏、洪準杓氏、韓東勲氏、梁香子氏らも出馬を模索しましたが、党内予備選で敗れたり、出馬を撤回したりしました。

最大野党である共に民主党は、李在明氏を党の公認候補として擁立しました。李氏は4月10日に出馬を表明し、4月27日に正式に選出されました。共に民主党の予備選には、金慶洙氏や金東兗氏も参加しましたが、敗退しました。金斗官氏は出馬宣言後、撤回しました。

改革新党からは、李俊錫氏が公認候補として選出されました。進歩党では金在妍氏が公認候補となりましたが、後に立候補を辞退し、李在明候補への支持を表明しました。姜聖熙氏も進歩党の予備選に参加しています。国会外の政党である民主労働党からは、権英国氏が公認候補として確定しました。新未来民主党の李洛淵氏は出馬を宣言しましたが、後に撤回しました。無所属としては、黄教安氏が出馬を表明しています。

正式な立候補者登録は5月10日と11日に行われ、合計7名が登録を完了しました。候補者には、国会での議席数が多い順に記号番号が割り振られ、院外政党の候補者には政党名のカナダラ順で番号が付与されました。なお、祖国革新党には記号3番が割り当てられましたが、同党は候補者を擁立せず李在明候補への支持を表明したため、事実上の欠番となりました。

その他

この選挙が6月3日に実施されることになった影響の一つとして、教育部は当初同日に予定していた大学修学能力試験（スヌン）の6月模擬試験の日程を、翌日の6月4日に変更しました。これは、国民の重要な権利である投票機会を確保するための措置です。

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