2A46 125mm滑腔砲

2A26/2A46 125mm滑腔砲：東側戦車の主力

2A26/2A46は、ソビエト連邦で開発された後装式滑腔砲であり、東側諸国の第3世代主力戦車における戦車砲のデファクトスタンダードとなっています。GRAUコード（軍制式コード）は2A26/2A46ですが、企業側（現在は第9連邦国営単一企業）での呼称はD-81T/D-81TM/D-81Kです。

開発経緯と特徴

本砲は、T-62およびT-64で採用された2A20/21 115mm滑腔砲の後継として開発されました。火力強化のため大口径化が行われ、自動装填装置も新型化されています。

T-64に搭載されていた2A21の6ETs10型自動装填装置は、可動部の動作範囲が大きく、乗員を死傷させる事故が多発しました。そのため、2A26/2A46では6ETs10から機構を変更し、可動範囲を減少させた6ETs15型自動装填装置が導入されました。その後、可動範囲の狭いドラム方式を採用した新型の6ETs40型自動装填装置が導入されています。

6ETs40型自動装填装置では、砲弾と装薬がドラムに収容され、ドラムが回転して弾薬を装填位置に移動させた後、アームが砲弾・装薬をそれぞれすくい上げて閉鎖機内に装填します。装填プロセスの所要時間は弾薬の位置により異なり、3-18秒です。

T-64Bに搭載された2A46-2からはガンランチャーとしての性格も備えており、2A46-2では9M112 コブラ対戦車ミサイルを、改良型の2A46M以降では9M119 レフレークスを発射できます。

各型と搭載車両

2A26：T-64Aの初期型
2A26M-2：T-72の初期型や輸出型
2A46-1/2A46-2：T-64シリーズの中期型
2A46M：T-64シリーズの後期型とT-72
2A46M-1：T-80
2A46M-2/2A46M-4：T-80UM
2A46M-5：T-90A

また、東側諸国で開発された主力戦車においても、多くが本砲の系列や派生型を採用しています。

派生型

2A75：2S25スプルート-SDの主砲
2A82-1M：T-14の主砲

2A45 125mm牽引式対戦車砲は、2A46系と弾薬を共通化しています。中国は2A46Mを基にZPT-98 48口径125mm滑腔砲を開発しました。

諸元・性能（2A46）

種別：後装式滑腔砲
口径：125mm
砲身長：48口径長/6,000mm
重量：2,500kg
全長：6,383mm
砲尾：水平鎖栓式閉鎖機
砲架：車載砲
薬室圧力：500 MPa (73,000 psi)
初速：1,700-1,800メートル毎秒（砲弾により変化）
最大射程：2,120m（直接照準、APFSDS）、10,000m（間接照準、HEF）
弾薬：分離装薬筒

西側火砲との比較

西側規格の120mmL44滑腔砲と同等の火力でありながらコストが安いため、搭載している車両は120mm滑腔砲を搭載する車両より多いです。

APFSDSは弾芯の長さに比例して貫通力が向上するため、西側諸国は砲口径はそのままに弾芯の長さを可能な限り長くして貫通力を増すという手法で火力強化を行い易いです。一方、本戦車砲を搭載する戦車の多くが分離式砲弾を採用していることと自動装填装置の機械的制約から、弾芯延長が困難であり、砲弾を含めた西側の120mm砲との総合的な性能の比較では若干不利となっています。

関連項目

ロイヤル・オードナンス L30
IMI 120mm戦車砲
GIAT CN120-26/52
ラインメタル 120 mm L44 / ラインメタル 120 mm L55
* 10式戦車砲

もう一度検索