3K95 キンジャール

3K95 キンジャール (SA-N-9 ガントレット)

3K95 キンジャールは、ソビエト連邦が開発した個艦防空ミサイル・システムであり、NATOコードネームはSA-N-9 ガントレット、輸出向け名称はクリノークと呼ばれています。「キンジャール」とはコサックが用いる両刃の短剣、「クリノーク」とは刀身を意味します。

概要

キンジャール・システムは、地上用の9K330 トールの艦載版として開発されました。垂直発射方式を採用することで優れた即応性を実現し、新しい誘導システムと射撃指揮システムによって同時交戦性能を備えています。

開発経緯

1970年代後半、ソ連海軍は4K33 オサーMを更新するため、新しい個艦防空ミサイル・システムの開発に着手しました。この開発は、地上軍の9K33 オサーの更新計画と合流して進められることになり、1982年よりグリシャ級フリゲートMPK-104において洋上試験が開始されました。

しかし、試験は難航し、キンジャール・システムの搭載を前提に建造されていたウダロイ級駆逐艦の初期建造艦は、未搭載のまま就役せざるを得ませんでした。1986年春にP-5を改良した標的機の撃破に成功し、1989年より本格的な配備が開始されました。

システム構成

キンジャール・システムは、以下の要素で構成されています。

9M330ミサイル
垂直発射装置 (VLS)
3R95 (クロス・ソード) 射撃指揮装置

キンジャール・システムのVLSは、より大型のS-300F フォールトと同様のコールド・ランチ方式を採用した8連装リボルバー型です。ミサイル・セルが回転して発射位置に来ると、ミサイルのコールド・ガスによって発射機から射出された後、空中でロケット・モーターに点火します。

3R95は、C(G)バンドの目標捕捉レーダー（パッシブフェーズドアレイ、最大追尾距離45km）とKバンドの交戦レーダー（2つのパラボラアンテナを背中合わせに配置、最大追尾距離15km、上部にIFFアンテナを装備）という2種類のレーダーで構成されており、同時に4目標を攻撃可能です。キンジャール・システムは8～24秒という優れたリアクション・タイムを示し、操作人員は合計13名です。

搭載艦

キンジャール・システムは、以下の艦艇に搭載されています。

空母「アドミラル・クズネツォフ」
ウダロイ級駆逐艦
ネウストラシムイ級フリゲート
* キーロフ級ミサイル巡洋艦 (4番艦のみ)

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