78式雪上車

78式雪上車について

78式雪上車（ななはちしきせつじょうしゃ）は、陸上自衛隊の普通科部隊によって主に利用される雪上車です。用途としては、雪上での物資や機材の牽引、人員の輸送、さらに哨戒任務に使われます。この車両は特に北海道や日本海側の豪雪地域に配備されており、上越市の第2普通科連隊や米子市の第8普通科連隊などの部隊に所属しています。
[1978年]]に制式採用され、1996年からは改良型として78式[[雪上車]型の配備が始まりました。隊員の間ではこの車両は「大雪（だいせつ）」という通称で呼ばれています。操縦するためには大型免許や大型特殊免許を取得する必要があります。

特徴

78式雪上車の最大の特徴は、独自の履帯システムにあります。通常の鉄ではなく、強化樹脂製や一部金属製の履帯を装備し、接地面にはスパイクを埋め込んだゴムを使用しています。また、転輪も鉄製ではなく、ゴムタイヤを採用しているため、雪上での走行性能が向上しています。この履帯の設計は、大原鉄工所によるもので、この企業は新潟県長岡市に本社を持つ歴史的な会社です。大原鉄工所は南極観測隊の雪上車も手掛けていることで知られています。

さらに、78式雪上車は作業を行う隊員が厚い手袋を着用していても操作がしやすい工夫が施されています。整備を行わずに1年間放置しても、夏の厳しい暑さで劣化することは少なく、翌年の冬シーズンにはそのまま使用できるという高い耐久性も持っています。また、普段は荷台に幌が装着されていますが、必要に応じて荷台に銃架を設置し、79式対舟艇対戦車誘導弾や12.7mm重機関銃M2などを搭載することも可能です。

78式雪上車は、60式3トン雪上車および61式大型雪上車の後継として位置付けられ、1972年から開発が開始されました。1978年以降も継続して調達が行われ、生産数は500両以上に達しています。平成15年度から17年度までには、毎年一定台数の車両が納入されていますが、10式雪上車の納入開始に伴い、22年度末で新規の調達が終了しました。

初期型の運転席は、いすゞの73式大型トラック部品を流用した設計が採用されており、改良型では民間品の流用も見られます。また、初期型の操舵システムは操舵レバーによる制動で、左右の旋回を行う形式でした。そのため、ブレーキペダルが存在せず、制動時には操舵レバーを引くことで制動を行いますが、B型に改良後は新しい制御方式が採用され、ブレーキペダルが追加されました。

登場作品

78式雪上車は小説『富士山噴火』に登場します。この作品では富士山の噴火によって、御殿場市に降灰があり、車両通行が難しくなった状況で、東北と北海道に配備された30台が北富士演習場に空輸され、避難民の移動に利用されました。本作中でも通称「大雪」が使われています。

まとめ

78式雪上車は、機能性と耐久性を兼ね備えた重要な陸上自衛隊の装備品です。雪上での運搬任務を遂行するために設計されたこの車両は、厳しい環境条件でも活躍する能力を持っています。今後もその役割を果たし続けることでしょう。

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