88鍵のピアノの音域外の音

88鍵ピアノの音域外の音

88鍵ピアノの音域外の音とは、標準的な88鍵ピアノの音域（A0〜C8）に含まれない音のことです。現代ピアノの標準である88鍵は、人間の聴覚で楽音として認識できる範囲とされていますが、一部のピアノは豊かな響きを求めて音域を拡張しています。

概論

一般的な88鍵ピアノの音域は、A=440Hzとした場合、約27.5Hzから4186Hzです。これ以上の低音は唸り、高音はノイズとして感じられ、音程を認識しにくくなります。しかし、他の音との共鳴を重視し、豊かな響きを得るために、音域を拡張したピアノが一部で製作されています。

ブゾーニ、スクリャービン、バルトーク、ボルコムなどの作曲家は、88鍵ピアノにない音を出すことを指定しています。ピアノの鍵盤拡張は長年議論の的でしたが、21世紀に入り本格化しました。

音域を拡張したピアノ

音域を拡張したピアノの例として、以下のものがあります。

ディヴィッド・ルービンシュタイン・ピアノ: 97鍵（C0〜C8）を持つR-371。
ベーゼンドルファー: 97鍵（C0〜C8）のModel 290、92鍵（F0〜C8）のModel 225。
スチュアート・アンド・サンズ: 97鍵（F0〜F8）、102鍵（C0〜F8）、108鍵（C0〜B8）。108鍵モデルは2022年現在、世界で最も広い音域を持つピアノです。
ステファン・ポレロ: 97鍵（F0〜F8）、102鍵（C0〜F8）。
クリス・メーネ: 90鍵（G0〜C8）のザ・ストレート・ストラング・グランド・ピアノ。

ベーゼンドルファーは超低音のみを拡張し、白鍵の上面を黒く塗って区別しています。一方、スチュアート・アンド・サンズやステファン・ポレロは、超高音・超低音ともに拡張しています。Borgato Grand Prix 333とFazioli F308は音域拡張を行っていません。日本のメーカーでは、2022年現在、88鍵を超えるピアノの音域拡張は行われていません。

かつてはペトロフとベーゼンドルファーも92鍵ピアノを製造していましたが、現在は製造していません。

ピアノ以外の楽器での例

通常のピアノで出せない超高音が出る楽器として、ピッコロ、ソプラニーノリコーダー、グロッケンシュピール、チェレスタ、アンティークシンバルなどがあります。ヴァイオリン属は理論上無限に高音が出せます。

トム・ジョンソンの『想像上のトランペットのための「天上の音楽」』には、実現不可能な超高音の和音が登場します。

通常のピアノで出せない超低音が出る楽器として、オクトコントラアルトクラリネット、オクトバス、ハイパーバスフルート、オクトコントラバスクラリネット、サブコントラバスチューバなどがあります。

シンセサイザーは理論上、物理的な制約なく無数のピッチを扱えます。MIDIではC-1からG9までを扱えます。パイプオルガンは超低音から超高音まで出せるものがあり、グアテマラのマリンバには137の音板を持つものがあります。

関連項目

音域
音名と階名
ノートナンバー
ペルセウス座銀河団

脚注

ピアノの各音の周波数の一覧(外部リンク)

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