A列車で行こうシリーズ

『A列車で行こう』シリーズの歴史と変遷

『A列車で行こう』シリーズは、株式会社アートディンクが開発を手掛ける、都市開発と鉄道経営を組み合わせたシミュレーションゲームです。1985年のPCゲームとしての登場以来、そのゲーム性と奥深さから多くのファンを魅了し続けています。

シリーズ初期（1980年代）

1986年12月にシリーズの幕開けとなるPC版『A列車で行こう』が発売されました。初期はパズルゲームの要素が強く、鉄道敷設を通じて都市を発展させるというコンセプトの基礎が築かれました。その後、1990年に発売された『A列車で行こうIII』で、クォータービューを採用した都市構築型ゲームへと大きく転換し、シリーズの方向性を決定づけました。この『III』は、日本国内のみならず、海外でも高い評価を受け、数々のゲームアワードを受賞しています。

1992年には英語版がリリースされ、1993年には家庭用ゲーム機初となるPCエンジン版が登場、1995年にはスーパーファミコン版も発売されました。

シリーズ中期（1990年代）

1994年には、PlayStation版『A列車で行こう4 EVOLUTION』が発売され、3Dで都市を眺める「車窓モード」が追加され、シリーズの人気を不動のものとしました。その後も、『A列車で行こう4 EVOLUTION グローバル』といったマイナーチェンジ版が発売され、1996年にはPC版『5』、そしてPlayStation版『5』が登場しました。

2000年代の展開

2000年代に入ると、プラットフォームはPlayStation 2へと移行し、『6』以降は、PS2の性能を活かした鉄道経営シミュレーションへと進化しました。特にグラフィックが大幅に向上し、フルポリゴンによる3D表現や、太陽光の変化による景観の変化などが特徴です。また、「Emotional City System」と呼ばれる都市発展システムが導入され、列車の運行状況や産業構造が都市の発展に影響を与えるという複雑なシミュレーションが可能となりました。同じ線路配置、同じ列車でも、異なる都市発展が起こるという、多様性が魅力です。

携帯電話向けには『A列車で行こう i』が発表され、PC版の移植・発展版として『A列車で行こう The 21st Century』も発売されています。

2005年にはPCゲームとして『A列車で行こう7』が発売され、再び『4』のゲームシステムに回帰しました。その後は『HX』『8』『DS』『9』『3D』『はじまる観光計画』と、主に4の経営型シミュレーションのシステムと3Dのビジュアルを生かしたシリーズ展開となっています。現在では家庭用ゲーム機がメインの展開となっており、PC向けの新作は2010年の『9』発売以降出ておらず、2024年現在も『9』とそのアップグレードキットが発売されています。

「A列車シリーズ構想」

2000年12月13日には、オンラインゲームへの移行を視野に入れた「A列車シリーズ構想」が発表されました。プレイヤー間でのマップ共有や経済概念の導入、土地や車両の売買などを可能にする本格的なネットゲームを目指していましたが、様々な理由から開発は凍結され、現在のところ、スタンドアローン形式でのリリースが続いています。ダウンロードコンテンツなどで限定的にネットワークを利用したシステムが導入されることはありますが、オンラインゲーム化は未定のままです。

シリーズの変遷（詳細）

以下に、主なシリーズ作品とその特徴を解説します。

A列車で行こう (1985年12月発売)：シリーズ最初の作品。パズルゲーム的な要素が強く、大統領専用列車を運行する鉄道網を構築することが目的でした。初期の作品はBASICで開発されており、アセンブラで処理を高速化していました。
A列車で行こうII (1988年7月発売)：初代の強化版で、アメリカ編、中国編、シベリア編、日本列島編、ヨーロッパ編の5種類のマップが選択可能になりました。前作の課題点も改善され、よりゲーム性が向上しています。シリーズ中、唯一、廉価版や他プラットフォームへの移植がされていない作品です。
A列車で行こうIII (1990年12月発売)：クォータービューを採用し、都市開発と鉄道経営を組み合わせたシミュレーションゲームへと大きく変化しました。現在に続くA列車シリーズの基礎となった作品で、その美しい町並みと奥深いゲームシステムは多くのファンを魅了しました。実在の列車が初めて登場した作品でもあります。
A列車で行こうIV (1993年12月発売)：『III』のシステムを拡張し、高架橋や道路、バス・モノレールなどが導入され、都市開発の自由度が大幅に向上しました。画面視点の移動機能や、ヘイトカット機能も搭載されました。後年の『A列車で行こう7』は、この作品のリメイクをコンセプトに制作されています。
A.IV.EVOLUTION (1994年12月3日発売)：PlayStation版として発売。3Dで都市を眺める車窓モードが追加され、シリーズの人気を不動のものにしました。特にBGM「街角の女」は、以後のシリーズにも多く収録され、シリーズの看板BGMとなりました。
A.IV.EVOLUTION GLOBAL (1995年11月発売)：『A列車で行こうIV エヴォリューション』のインターナショナルバージョン。言語を複数収録し、各国の有名列車の追加や各国の地形を模したマップが追加されています。文化的な特色がグラフィックに反映されている点が特徴です。
A列車で行こう5 (1996年12月発売)：ヘリコプターやトラックといった新しい交通機関が導入され、ゲーム内の時間進行が長くなるなど、鉄道運行シミュレーション要素が強くなりました。3Dビューでの走行シーンも楽しめます。本作からタイトルがアラビア数字表記に変更されました。
A列車で行こう5 完全版 (1997年12月発売)：DirectXに対応したリニューアル版で、3Dアクセラレーターボードが不要になりました。
A列車で行こう5 家庭用版 (1997年12月発売)：PC版を移植した家庭用版。PC版と3Dビューの描写が異なり、よりリアルな描写となっています。
A列車で行こうZ -めざせ!大陸横断- (1999年5月発売)：初代『A列車で行こう』のように、明確なストーリーと目標を設定した異色作で、大陸横断[[鉄道]]の建設が目的です。
リサと一緒に大陸横断 〜A列車で行こう〜 (2006年6月発売)：『A列車で行こうZ』のリメイク版。アニメ調のキャラクターデザインが特徴。
A列車で行こう6 (2000年3月4日発売)：PlayStation 2にプラットフォームを移し、グラフィックが大幅に向上しました。鉄道建設と産業誘致に重点が置かれ、都市は自動的に発展するシステムとなりました。
A列車で行こう2001 (2001年3月8日発売)：『A6』のバージョンアップ版。資材の重要性が高まり、駅に旅客が描写されるようになりました。トレインキットによる車両追加も可能になりました。
A列車で行こう The 21st Century (2003年6月19日発売)：A列車で行こう2001のWindows移植版。マップエディタも搭載。
A列車で行こうi：携帯電話向けのiアプリ版。簡単な操作で都市を開発できる。
A列車で行こう7 (2005年2月26日発売)：経営シミュレーション要素が復活し、『4』のシステムに近い作品です。
A列車で行こうEZ：携帯電話au BREW端末に対応したA列車。基本的なシステムはiとほぼ同様
A列車で行こうHX (2006年12月21日発売)：Xbox 360用ソフト。『7』の3Dバージョン。
A列車で行こう8 (2008年3月21日発売)：『A列車で行こうHX』のPC移植版。
A列車で行こうDS (2009年4月23日発売)：携帯ゲーム機向け作品。都市開発と経営に重点が置かれ、実在の車両は登場しません。
A列車で行こう9 (2010年2月11日発売)：PC向け作品で、車両の長さが10両編成まで対応。拡張パックも多く発売され、より本格的な鉄道経営シミュレーションが楽しめます。
A列車で行こうExp. (2017年12月21日発売)：PlayStation 4|PlayStation_4移植版。鉄道模型モードやフライトモードなどの新機能が追加されています。
A列車で行こう3D (2014年2月13日発売)：ニンテンドー3DS向け作品。
A列車で行こう3D NEO (2016年12月1日発売)：New[[ニンテンドー3DS]]の性能にあわせて最適化された作品。DLCもすべて収録。
みんなのA列車で行こうPC (2016年12月15日発売)：『3D』のPC版。グラフィックが向上し、フリーモードやオリジナルシナリオも追加。
はじめてのA列車で行こう：スマートフォン向けアプリ。初代『A列車で行こう』をリニューアル。
相鉄線で行こう：相模[[鉄道]]とのコラボレーション企画したスマートフォン向け無料アプリ
A列車で行こう はじまる観光計画 (2021年3月12日発売)：観光要素が加わった最新作。車両のカスタマイズも可能。
* A列車で行こう ひろがる観光ライン (2022年11月3日発売)：A列車で行こう はじまる観光計画の追加DLC

『A列車で行こう』シリーズは、35年以上にわたり、時代とともに進化を続けてきました。今後も、新たな技術やアイデアを取り入れながら、更なる進化を遂げていくことが期待されます。

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