ACV (装輪装甲車)

ACV (水陸両用戦闘車)とは

ACV（Amphibious Combat Vehicle）は、アメリカ海兵隊が2020年代より配備運用している水陸両用式の装輪装甲車です。老朽化したAAV7の補完および後継車種として、EFV開発計画の代替として開発されました。

開発の経緯

2011年にEFV開発計画がキャンセルされた後、ACVの開発計画が開始されました。当初の計画では、17名の海兵隊員が搭乗し、海岸から約20km離れた地点から自力で洋上展開し、上陸後はそのまま地上作戦に移行できる能力が求められました。予算や技術的な問題から、開発はフェーズ1とフェーズ2に分けられました。

フェーズ1: 既に開発されている装甲戦闘車両の中から適切なものを暫定的に選定し、改修して運用。
フェーズ2: フェーズ1での運用経験と新たな技術を基に、全ての要求仕様を満たす車種を開発。

フェーズ1では、ACV1.1とACV1.2の2つのバージョンが計画されました。

ACV1.1: 水陸両用能力を持つ装輪装甲車を装甲兵員輸送車として採用。AAV7と同等の遊泳能力、10～13名の海兵隊員搭乗能力、M1エイブラムスとの共同作戦が可能な機動力を有する。
ACV1.2: 指揮車両、回収型、物資輸送型などのバリエーション展開を行い、洋上機動能力を向上。ACV1.1を1.2相当に改修することも検討。

2013年にMPC開発計画が停止された後、MPCの要求仕様がACV1.1に組み込まれました。イヴェコとBAEシステムズの共同提案（イヴェコ スーパーAVの改良型）、ロッキード・マーティンとパトリアの共同提案（パトリアAMVの改良型）など、複数の企業から提案がなされました。2018年6月、イヴェコ・BAEのスーパーAVが選定され、2020年10月には最初の18両が実戦部隊に配備されました。

型式・派生型

当初のACV1.1と1.2の名称は統合され、量産時には以下の形式が用いられることになりました。

ACV-P: 基本となる兵員輸送型。13名の海兵隊員と2日分の戦闘物資を搭載可能。M153 CROWS IIを搭載。2020年に初期作戦能力を獲得。
ACV-C: 指揮車両型。最初の量産車は2024年1月に納入。
ACV-R: 回収車両型。設計開発契約が2022年3月、試験用試作車両の製造契約が2024年4月に締結。
ACV-30: 歩兵戦闘車型。30mm Mk 44 ブッシュマスター II機関砲を搭載。コングスベルグ製のRT20無人砲塔に搭載。
ACV-C4/UAS: 研究中の派生型。ロッキード・マーティン製の小型無人機システムを搭載した偵察用モデル。
ACV 2.0: AAV7を完全に代替可能な新車種となる可能性。2024年時点では詳細不明。

ACVは、アメリカ海兵隊の水陸両用作戦能力を大きく向上させる装備として、今後の活躍が期待されています。

関連項目

AAV7
EFV
* MPC

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