Anvil (ゲームエンジン)

Anvil (アンヴィル) ゲームエンジン

Anvilは、ユービーアイソフトが開発したゲームエンジンです。元々は「Scimitar」という名称でしたが、2009年にAnvilへと改名されました。このエンジンは、同社の人気タイトルであるアサシン クリードシリーズをはじめ、様々なゲームの開発に利用されています。

開発と機能

ユービーアイソフト モントリオールのテクニカルディレクターであるクロード・ラングレー氏によると、モデリングには3ds Max、キャラクター制作にはZBrushが使用されています。また、AutodeskのHumanIKミドルウェアを活用することで、キャラクターがランタイム中に、より自然な動きで、壁をよじ登ったり、物を押したりするアニメーションを実現しています。

Anvilは、アサシン クリード IIの開発に合わせて大幅に改良されました。この改良により、昼夜のサイクル、描画距離の拡張、Far Cry 2で使用された植生技術の導入、ライティングと反射効果の向上、新しい布のシミュレーション、AIとNPCのナビゲーションシステムの刷新など、多くの新機能が追加されました。また、アサシン クリード リネージでは、Anvilで作成されたアセットを基に、実際の俳優が演技する環境が再現されました。

AnvilNextへの進化

2012年には、Anvilのアップデート版であるAnvilNextがリリースされました。このバージョンは、アサシン クリード III以降のタイトルを見据えて開発され、多くの機能強化が施されました。特に注目すべきは、新しい天候システムの導入です。これにより、アサシン クリード IVのように自動的に天候が変化するだけでなく、特定の天候を任意に設定することも可能になりました。レンダリングエンジンも書き直され、効率が向上し、高度なポストエフェクト処理に対応できるようになりました。また、Far Cry 4の技術が導入されたことで、ダイナミックなサンドボックス環境が実現し、水の表現もよりリアルになりました。ゲーム内のイベントに応じて、敵の集落が陸と海の両方に現れたり消えたりするようになり、それに応じて水の効果も調整されるようになりました。さらに、アサシン クリード ユニティ以降では、特定のデザインルールやテンプレートに従って、構造物を自動生成できるようになりました。これにより、アーティストやデザイナーは、複雑な都市環境を構築する際の負担を軽減できるようになりました。パリのノートルダム大聖堂のようなランドマークは、依然として手作業でデザインされていますが、ほぼ現実と同じ1:1の比率でレンダリングすることが可能です。さらに、プレイアブルキャラクター以外のNPCのAIも大幅に改善されました。

エンジンの特徴

Anvilエンジンは、事前計算されたグローバルイルミネーション、リフレクションマッピング、ボリューメトリックフォグ、ダイナミックウェザー、ダイナミックフォリッジなど、様々なアップグレードを受けています。物理ベースレンダリングによる高度な制御メカニズムが導入されたことで、マテリアル、オブジェクト、サーフェスが、照明、シェーディング、シャドウイングに対して、よりリアルな反応を示すようになりました。ボリューメトリック技術の追加により、グローバルイルミネーションシステムがさらにリアルになり、物理ベースのオブジェクトは、より現実的な反応を示すようになりました。また、布のシミュレーションも進化し、主人公や環境、他のキャラクターに対して、よりリアルな挙動を示すようになりました。ワールドは、より大きなランドマーク、より多くのオブジェクト、より大きな建物など、視覚的な忠実度、没入感、ゲームプレイを向上させるための多くの追加機能がサポートされています。ロード画面なしで、建物内部に入れるようにもなりました。

Anvilを採用したゲーム

以下は、Anvilエンジン、およびその派生バージョンを採用した主なゲームタイトルです。

Scimitar
アサシン クリード (2007)
プリンス・オブ・ペルシャ (2008)
ショーン・ホワイト スノーボード (2008)

Anvil
アサシン クリード II (2009)
プリンス・オブ・ペルシャ：忘却の砂 (2010)
アサシン クリード ブラザーフッド (2010)
アサシン クリード リベレーション (2011)

AnvilNext
アサシン クリード III (2012)
アサシン クリード III レディ リバティ (2012)
アサシン クリード IV ブラック フラッグ (2013)
アサシン クリード ローグ (2014)

AnvilNext 2.0
アサシン クリード ユニティ (2014)
アサシン クリード シンジケート (2015)
レインボーシックス シージ (2015)
スティープ (2016)
フォーオナー (2017)
ゴーストリコン ワイルドランズ (2017)
アサシン クリード オリジンズ (2017)
アサシン クリード オデッセイ (2018)
ゴーストリコン ブレイクポイント (2019)
* スカル アンド ボーンズ (2024)

参考情報

本記事の情報は、ゲーム開発関連の情報を基に作成されました。

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