Apple Desktop Bus

Apple Desktop Bus（ADB）は、アップルコンピュータ（現Apple）のスティーブ・ウォズニアックによって開発された、世界初の汎用シリアルバス接続システムです。略称としてADBと表記されます。主にキーボード、マウス、筆圧タブレットなどの入力機器をコンピュータに接続するために用いられました。

ADBの概要

ADBは、Apple IIGSやMacintosh SE以降のMacintoshシリーズ、互換機のほか、ピピンアットマーク、NeXTStation Turboといった様々なハードウェアに採用されました。端子形状は、S端子とほぼ同じmini DIN 4pinが使用されています。ただし、ピピンアットマークでは独自のP-ADBという形状の端子が用いられています。

注意点として、日本ではADBケーブルをS端子ケーブルで代用したり、逆にS端子ケーブルをADBケーブルとして使用することは推奨されません。これは、日本のS端子ケーブルとADBケーブルでは端子の出っ張りの形状が異なるためです（詳細についてはS端子#S端子形状の項を参照ください。ADBコネクタは海外のS端子コネクタと同形状です）。

ADBの大きな特徴の一つは、バスパワーによる電力供給が可能な点です。これは、周辺機器に個別の電源を必要とせずに、バスから電力を供給できることを意味します。また、一つのバスから周辺機器を数珠繋ぎに最大3台まで接続できるため、配線の煩雑さを軽減することができました。さらに、一部のモデルでは、キーボードの電源ボタンを使ってシステムの電源を投入することも可能でした。

ADBは1986年に発売されたApple IIGSで初めて搭載され、1999年に発売されたPower Macintosh G3 (Blue & White)が最後の搭載機種となりました。PowerBookシリーズでは、PowerBook G3 (Bronze Keyboard)以降、外部インターフェースとしては搭載されませんでしたが、キーボードやタッチパッドを接続するための内部インターフェースとして利用されていました。iMacやiBookにはADBは搭載されておらず、代わりにUSBが採用されています。

技術的な詳細

ADBは、シリアルバスの一種であり、低速のデータ通信に適しています。キーボードやマウスなどの入力デバイスは、高速なデータ転送を必要としないため、ADBは非常に適したインターフェースでした。また、シンプルな構造とバスパワーによる電力供給の利便性から、多くのApple製品に採用されました。

ADBの終焉とUSBへの移行

1990年代後半に入ると、USB（Universal Serial Bus）が登場し、より高速で多機能なインターフェースとして広く普及しました。USBは、プラグアンドプレイに対応し、幅広い周辺機器を接続できるため、ADBの代替として急速に普及しました。その結果、Apple製品でもADBは徐々にUSBに置き換えられていき、最終的に姿を消すこととなりました。

まとめ

ADBは、スティーブ・ウォズニアックが開発した、世界初の汎用シリアルバス接続システムとして、その後のコンピュータ周辺機器接続の歴史に大きな影響を与えました。バスパワー、数珠繋ぎ接続、電源ボタンによる起動など、多くの革新的な機能を提供し、1986年から1999年までApple製品を支えました。現在ではUSBにその役割を譲りましたが、その技術的な遺産は現代のコンピュータ技術にも影響を与えています。

関連項目

レガシーデバイス
ユニバーサル・シリアル・バス (USB)
PS/2コネクタ|PS_2コネクタ
IEEE 1394
Apple Display Connector

外部リンク

ADBポートのピンアサイン(英語)

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