Ar 64 (航空機)

アラド Ar 64（Arado Ar 64）

アラド Ar 64は1920年代後半に設計された複葉式の単座戦闘機です。これは、ドイツがヴェルサイユ条約の制約を克服し、再び軍備を整え始めた時期に製造された戦闘機の中で最初のモデルの一つとなります。アラド社によって開発され、この機体は当時の航空技術の進化を反映しています。

設計と開発

Ar 64の設計は、アラド SD II及びSD IIIを基にしています。ドイツ航空省の要請に応じ、フォッカー D.XIIIの後継機として機体が設計されました。特にAr 64Dと64Eモデルは、第一次世界大戦後のドイツで一定量生産された初の戦闘機に該当します。

構成の違い: Ar 64Dは改良された降着装置と4枚ブレードのプロペラが採用されており、一方の64Eはダイレクトドライブ方式のジュピター VI星型エンジンを搭載し、2枚ブレードのプロペラを装備しています。1932年夏には両型式合わせて20機が受注され、その中の19機はシュライスハイムの戦闘機パイロット学校や、デベリッツ、ダムに配備されて戦闘飛行隊として運用されました。

派生型

アラド Ar 64には複数のモデルが存在し、それぞれ異なるエンジンや機体構造が採用されています。

• - Ar 64a: 395 kW (530 hp)のブリストル ジュピター VI 9気筒星型エンジンを搭載した試作機で、1930年に初飛行を果たしました。
• - Ar 64b: 477 kW (640 hp)のBMW VI 6.3 V型12気筒液冷エンジンを搭載し、1931年に2機が生産されました。
• - Ar 64c: 改良された構造を持つモデルで、1機が製造されました。
• - Ar 64D: 大型化された垂直尾翼と改良された降着装置を備えた量産型で、合計で10機が生産されました。
• - Ar 64E: D型との類似性を持つが、異なるエンジンを搭載している量産型です。

運用

アラド Ar 64は、主にドイツ国で運用されました。戦間期の航空機として、その設計と性能は当時の航空技術に大きな影響を与えています。特に、複葉式のデザインは安定性と操縦性の両立を目的としており、当時の航空戦においては重要な要素でした。

要目 (Ar 64D)

• - 乗員: 1
• - 全長: 8.43 m
• - 翼幅: 9.9 m
• - 空虚重量: 1,210 kg
• - 最大離陸重量: 1,680 kg
• - 動力: ジーメンス ジュピター VI 空冷星型エンジン（395 kW）
• - 武装: 2 × 7.92 mm MG 17 機関銃

アラド Ar 64は、ドイツ航空史において重要な位置を占める機体であり、戦間期の軍用機の中でも特に注目すべき一機です。将来的な航空機技術の進化の礎を築く存在となったといえるでしょう。

関連項目

• - 戦間期の軍用機一覧
• - ドイツの軍用機一覧

出典: The Complete Book of Fighters (Green, William, and Gordon Swanborough)

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