BMW・E36

BMW 3シリーズ E36：進化と多様性を極めた名車

BMW 3シリーズの代名詞ともいえるE36型は、1990年から2000年まで製造された3代目モデルです。居住性と安全性を向上させるため、ボディサイズは拡大されました。伝統的な丸型ヘッドライトから、よりシャープな異形4灯ヘッドライトへとデザインが進化。空力特性の向上も図られ、4ドアモデルにはプレスドアが採用されました。エンジンは6気筒モデルすべてでDOHC化を実現。サスペンションは、フロントにストラット式、リアにZ1譲りのマルチリンク式を採用することで、走行性能の大幅な向上に繋がりました。

8年間の生産期間中には、エンジン改良などのモデルチェンジが複数回実施され、セダン、クーペ、カブリオレ、ハッチバック（コンパクト）、ツーリング（ステーションワゴン）と、非常に幅広いボディバリエーションが展開されました。その結果、E36型は世界中でベストセラーモデルとしての地位を確立しました。日本においても、消費税導入による物品税廃止やバブル景気の後遺症、円高といった経済的背景も追い風となり、高い販売実績を記録しています。

E36型誕生からマイナーチェンジまで

1990年9月、316i、318i、320i、325iの4ドアセダンが発売され、E36型の歴史が幕を開けました。

1992年3月には、セダンと共通の外観を持ちながら、外装部品の大半が専用設計された2ドアクーペが登場。1993年4月には2ドアカブリオレが追加され、ボディバリエーションはさらに多様化しました。

1994年3月には、ボディの大型化と価格上昇を受けて、よりコンパクトで経済的なモデルとして3シリーズ・コンパクト（E36/5）がラインナップに加わります。3ドアハッチバックボディのこのモデルは、VWゴルフなどと同じCセグメントをターゲットとして開発され、E36セダンのリア部分をカットしたようなデザインが特徴的でした。コスト削減のため、シャシーは先代E30型を流用し、リアサスペンションはセミトレーリングアーム式が踏襲されました。また、同年には325iのエンジンがM50B25からM52B28へと変更され、328iへとモデルチェンジ。オートエアコンやヒーテッドドアミラーが標準装備されるなど、快適装備の充実も図られました。

1995年1月には、ツーリングモデル（ステーションワゴン）が追加。同年11月にはバンパーグリルのデザイン変更が行われています。

1996年11月にはマイナーチェンジを実施。1997年モデルより車体色に合わせたカラードバンパー、サイドステップ、リアスカートが採用され、バンパーグリル、キドニーグリルのデザインも微調整。ハイマウントブレーキランプとASC+T（トラクションコントロールシステム）が全車標準装備となりました。セダンモデルは、このマイナーチェンジまでが日本の5ナンバーサイズに適合していました（2000ccを超えるエンジンを搭載するモデルやクーペ、カブリオレは3ナンバー登録）。

E36コンパクト：BMWの挑戦

3シリーズ・コンパクトは、ボディ大型化と価格上昇により、より小型で手頃な価格帯のモデルの需要が高まったことに応えて開発されました。E30型のシャシーにE36のデザインを組み合わせることで、コストを抑えつつ、3シリーズのデザインアイデンティティを継承。3ドアハッチバックのみの設定で、完全な2ボックス型ではなく、小さなトランクリッドを持つセミノッチバックスタイルが採用されました。搭載エンジンは4種類。日本市場向けには、装備を追加した「プラス」モデルも設定されました。このクラスで後輪駆動を採用したモデルは珍しく、BMWの個性と走りの楽しさをコンパクトなパッケージで実現したモデルと言えるでしょう。1994年3月に316ti、318ti、318tdsが発売され、1996年11月のマイナーチェンジで323tiが追加されました。"ti"は「Touring International」の略とされています。

まとめ

E36型は、デザイン、メカニズム、バリエーションの豊富さにおいて、BMW 3シリーズの歴史の中でも重要な位置を占めるモデルです。多様なユーザーのニーズに応えることで、世界的な成功を収めたE36型は、現在でも根強い人気を誇っています。その成功は、BMWの技術力と市場戦略の両面を反映した結果と言えるでしょう。

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