BTD (航空機)

BTD デストロイヤー (Douglas BTD Destroyer)

BTD デストロイヤーは、アメリカ合衆国のダグラス社によって開発され、第二次世界大戦中にアメリカ海軍に短期間けれども運用された艦上爆撃機です。この機体は、「デストロイヤー」という愛称からも想像できるように、破壊者としての役割を持っていました。当初はXSB2D デストロイヤーという名称で開発されました。

開発の背景

1940年、ダグラス社は新型航空母艦に搭載する爆撃機の開発を開始しました。そして、1941年6月に海軍からXSB2Dとして発注を受け、エド・ハイネマンを主任設計者として、単発で複座式の爆撃機の設計に取り組みました。この機体は、アメリカ海軍の艦上機として初めて層流翼を採用しており、主翼形状は逆ガル式で、爆弾を収納するスペースも確保されていました。

しかし、試作機の製作が遅れ、初飛行は1943年4月に行われました。その後、海軍は艦上急降下爆撃機と艦上攻撃機の役割を統合し、新しい艦上爆撃機の開発を進める方針に切り替えました。新たな仕様では後部の防御武装を廃止し、単座型とすることが求められました。これを受け、BTD-1として345機が発注されました。

設計の改良と量産

ダグラス社では、2号機を単座仕様に改修し、量産機の設計にも着手しました。具体的には、コクピットの形状変更や尾翼の改良が行われ、BTDの1号機が1944年3月に初飛行を果たしました。しかし、当時の海軍は新しい艦上爆撃機「XBT2D」の開発にも着手しており、太平洋戦争の状況からもBTDの必要性が薄れることが予想されました。また、操縦性が良くないという評価もあり、最終的には量産は25機のみに制限され、残りはキャンセルされました。生産された機体は、主に訓練や試験に使用されました。

さらに、BTDを改良し、レシプロエンジンとジェットエンジンを搭載した混合動力機の「XBTD-2」も開発されました。これは1944年5月に初飛行に成功しましたが、速度向上が期待できなかったため、計画は断念されました。

技術仕様

BTD-1の主な技術仕様は以下の通りです。

• - 全長: 11.76m
• - 全幅: 14.64m
• - 全高: 5.05m
• - 自重: 5,851kg
• - 全備重量: 8,618kg
• - エンジン: ライト R-3350-14 空冷星型18気筒 2,300hp
• - 乗員: 1名
• - 武装: 魚雷・爆弾など最大1,905kg、20mm機関砲×2
• - 最大速度: 554km/h
• - 航続距離: 2,380km

現存機体

BTD-1は、少数ながら現存している機体もあります。これにより、過去の艦上爆撃機の歴史を今に伝える貴重な存在となります。

メディアでの登場

BTD-1はさまざまなゲームでも登場しています。『War Thunder』ではアメリカの課金機体として、また『World of Warships』では空母に搭載可能な艦上爆撃機として登場します。さらに、『戦艦少女R』や『アズールレーン』では、航空母艦「レキシントン」「サラトガ」の初期装備として見かけることができます。

まとめ

BTD デストロイヤーは、その独自の設計と特異な開発背景から第二次世界大戦の空に一時的に姿を見せましたが、その後の技術革新の中で歴史の一部となっていきました。この機体の歴史は、当時の航空戦術や技術の進化を理解するための大切な手がかりとなります。

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