BTR-82

BTR-82 (БТР-82)

BTR-82は、ロシア製の装甲兵員輸送車で、BTR-80Aを基に大幅に改良されています。この車両は歩兵の輸送を目的とし、不整地走破性や武器システムの性能を向上させた特徴を持っています。

歴史

BTR-82とその亜種であるBTR-82Aの試作車両は2009年12月、アルザマス機械製作工場で初めて組み立てられました。2010年冬に行われたテストを経て、2011年には南部軍管区の活動部隊でBTR-82Aが導入され始めました。また、カザフスタン軍はロシアよりも早く2010年からこの車両を採用し、2012年から納入が始まりました。2013年にはロシア陸軍に正式に採用され、部隊の装備が進められています。

デザイン

BTR-82はV型8気筒の4サイクルディーゼルエンジン、KAMAZ-740.14-300を搭載しており、高い出力と効率を誇ります。砲塔は二軸安定の電気駆動式統合モジュールで、武器にはKPVT 14.5mm機関銃（BTR-82用）または2A72 30mm機関砲（BTR-82A用）が搭載されています。加えて、PKTM 7.62mm機関銃が連装で装備され、火力を強化しています。デジタル安定装置と昼夜兼用のTKN-4GA照準器により、安定した射撃が可能です。さらに、砲手用の暗視装置が熱映像機能に拡張されることで、夜間の戦闘能力も向上しています。

BTR-82はBTR-80と比較して生存性や走行性能、信頼性において大きな改善を遂げており、車体内にスポールライナーを施すことで耐久性も向上しています。また、新型無線機や消火装置、対地雷防護の強化が図られており、多くの改良が施されています。

バリエーション

BTR-82にはいくつかの派生型があります。主に以下のバリエーションが存在しています：

• - BTR-82A: 2A72 30mm機関砲を装備しているタイプ。
• - BTR-82A1 (BТR-88): 遠隔操作戦闘モジュールを搭載した改良型。
• - BTR-82AM: BTR-80を改良したもので、BTR-82Aに近い性能を持っています。
• - BTR-82A: 増加装甲やスラットアーマーを装備し、夜間戦闘能力を向上させた仕様。
• - BTR-82V: ロスグヴァルディヤが運用しているモデル。
• - BTR-87: 大規模な改良が施された型で、空挺軍用に設計されています。

派生車両

BTR-82を基にしたタイフーン-Mは、移動式ミサイルシステムや戦略ミサイル部隊の護衛を担当する設計になっています。

運用国

BTR-82は多くの国で運用されており、その保有状況は次の通りです：

• - アゼルバイジャン: 107両（2023年時点）
• - ベラルーシ: 31両（2022年時点）
• - カザフスタン: 63両（2022年時点）
• - ロシア: 800両（陸軍）、600両（海軍）、120両（空挺軍、2023年時点）
• - シリア: 保有するBTR-82Aの実績が報告されています。
• - ウズベキスタン: 100両（2022年時点）
• - ウクライナ: 80両（2023年時点）

実戦での運用

BTR-82は多くの紛争で使用されています。ドンバス紛争においては、新ロシア派がこの車両を運用しました。また、シリア内戦やナゴルノ=カラバフ紛争においてもその姿が確認されており、特に2020年のナゴルノ=カラバフ紛争ではアゼルバイジャン軍が使用しました。

近年のロシア・ウクライナ侵攻でもBTR-82が数多くのバリエーションとともに運用されており、戦闘の中で実戦能力が試されています。2024年までに31両の損害が記録され、特にアメリカから供与されたブラッドレー歩兵戦闘車との激しい戦闘が報告されるなど、注目されています。

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