By My Side

来生たかお『By My Side』：1978年発表の3rdアルバム

『By My Side』（バイ マイ サイド）は、1978年にリリースされた来生たかおの3枚目のオリジナルアルバムです。このアルバムは、来生たかおが歌手デビューする以前に、姉である来生えつこと共に書き溜めていた楽曲が多く収録されている点が特徴です。

制作背景

来生えつこは、当時、歌詞に関してディレクターからの細かな指示や制約がなく、比較的自由な発想で制作に臨めたと語っています。初期の作品群には、彼女の奔放な創造性が色濃く反映されていると言えるでしょう。また、レコード会社からの期待が高かった初期のアルバム『浅い夢』や『ジグザグ』が、セールス面で期待されたほどの成果を上げられなかったため、本作の制作にあたっては、周囲も肩の力を抜いて、じっくりと取り組む姿勢になったようです。

ジャケットとスタイリング

アルバムのジャケットには、コーデュロイのジャケットにハンチング帽を被り、葉巻をくゆらせる来生たかお自身のポートレートが使用されています。このコスチュームは、銀座で誂えたもので、ギルバート・オサリバンの初期のスタイルを意識したものであることが語られています。

復刻盤

『By My Side』は、これまでに何度か復刻されています。

1986年7月25日：歌手デビュー10周年に際し、CD化（規格品番：H33K-20045）
1991年4月25日：CD（規格品番：KTCR-1046）
1995年7月21日：歌手デビュー20周年に際し、CD選書Q盤として高城賢によるデジタルリマスター化（規格品番：KTCR-1558）。
2007年3月21日：オリジナル・アルバム、企画アルバムを集めた21枚組CD-BOX『来生たかお大全集』（規格品番：UPCY-6355/75）に1995年版を収録（規格品番：UPCY-6357）。

アルバムタイトル表記の変遷

アルバムタイトルは、初出のジャケットでは“By My Side”と表記されていましたが、復刻版では様々な表記が見られます。

LP：“By My Side”“ここへおいでよ”の併記
1986年版CD：“BY MY SIDE”
ケース側面部：LPでは“By My Side”“ここへおいでよ”の併記、CDでは“BY MY SIDE”
帯：LPでは“By My Side”“ここへおいでよ”の併記、1986年版CDでは“バイ・マイ・サイド”“BY MY SIDE”の併記、1991年版CDでは“バイ・マイ・サイド”、1995年版CDでは“BY MY SIDE”

“ここへおいでよ”というフレーズは、メインタイトルとして扱われることもありましたが、CD化以降は表記自体が用いられなくなっています。CD-BOX『来生たかお大全集』では“BY MY SIDE”と紹介されるなど、各種ディスコグラフィーによっても表記は片仮名やアルファベットになっています。

収録曲について

アルバムには、「片隅にひとり」「涙嫌い」「オレンジ通り五番街（振り向いてアベニュー）」など、来生たかおの代表曲が多数収録されています。

片隅にひとり：5thシングル。歌謡曲を意識した都会の風情を描いた楽曲。
僕のユーモレスク：ドヴォルザークの「ユーモレスク」が引用されている。
ふたり：永井美智子とのデュエット曲。来生姉弟作品で初めて“愛”という言葉が歌詞に使用された。
涙嫌い：井上純一や倉橋ルイ子がカバー。来生えつこによる同名小説も存在する。
官能少女：アニメ『みゆき』の挿入歌としても使用された。
オレンジ通り五番街（振り向いてアベニュー）：文化放送のラジオ番組のオープニングテーマ。河合奈保子もカバー。

参加ミュージシャン/スタッフ

アルバムの制作には、多賀英典がプロデューサー、本間一泰がディレクターとして参加。高城賢がレコーディング・エンジニア、横木安良夫がフォトグラファーを務めるなど、豪華なスタッフが集結しています。

『By My Side』は、来生たかおの初期の魅力を堪能できる作品であり、来生えつこの自由な作詞と来生たかおのメロディセンスが光る、ファン必携のアルバムと言えるでしょう。

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