C反応性蛋白

C反応性蛋白（CRP）とは？

C反応性蛋白（CRP）は、肝臓や脂肪細胞で産生される環状のタンパク質で、体内に炎症や組織損傷が起こると血中濃度が上昇します。これは、急性期反応タンパク質の一種であり、肺炎球菌のC多糖体と結合することからこの名が付けられました。

CRPは、マクロファージやT細胞から分泌されるインターロイキン6（IL-6）によって産生が促進されます。炎症部位では、死細胞や細菌の表面にあるリゾフォスファチジルコリンという物質にCRPが結合します。この結合は、補体系の古典的経路を活性化し、細菌の溶菌や凝集を引き起こすことで、体を守る働きをします。

CRPの診断的意義

CRPの血中濃度は、炎症の程度と密接に関連しています。そのため、血液検査でCRPを測定することで、炎症の有無や強さを評価する指標として広く利用されています。一般的に、炎症が強いほどCRP値は上昇します。

細菌感染症ではCRP値は著しく上昇する傾向がありますが、ウイルス感染症では上昇が軽微であったり、上昇しないことも多いです。インフルエンザウイルスなど、強い発熱を伴うウイルス感染症でも、CRPの上昇は限定的です。通常の風邪（感冒）では、CRP値が上昇しないことが一般的です。

ただし、同じ疾患、同じ重症度であっても、CRPの上昇には個人差があります。そのため、他の患者と比較するよりも、同じ患者の経過を辿る中でCRP値の変化を見ることで、炎症の推移を把握する指標として有用です。

また、炎症開始直後にはCRP値の上昇は遅いため、炎症の早期診断には白血球数の増加や左方移動といった他の指標の方が適しています。日本ではCRPが広く用いられていますが、欧米などでは、炎症や感染症の指標としては白血球が主要に使われ、CRPは心血管疾患のリスク評価などで用いられることが増えています。

CRPの基準値と高値を示す疾患

CRPの基準値は一般的に0.3 mg/dL以下とされています。それ以上の値は、炎症の可能性を示唆します。CRP値の上昇程度によって、炎症の程度を推定できますが、あくまで参考値であり、診断には他の検査結果なども総合的に判断する必要があります。








CRP値が上昇する疾患には、以下のようなものがあります。

感染症（細菌性、一部のウイルス性）
自己免疫疾患（関節リウマチ、リウマチ性多発筋痛症、成人スティル病など）
悪性腫瘍
外傷
心筋梗塞（狭心症では軽微）
その他の炎症性疾患（胃炎、腸炎など）

赤血球沈降速度（血沈）も炎症の指標として用いられることがあります。

CRPに関する研究

CRP値に影響を与える可能性のある要因に関する研究もいくつか行われています。例えば、ビタミンCの摂取によってCRP値が低下するとの報告や、マグネシウムの摂取量とCRP値には逆相関関係があるとの報告があります。これらの研究は、CRP値を下げるための生活習慣の改善に役立つ可能性があります。しかし、これらの情報はあくまで研究結果であり、医学的なアドバイスではありません。

まとめ

C反応性蛋白（CRP）は、炎症反応を評価する上で重要な指標です。CRP値を測定することで、感染症やその他の炎症性疾患の診断、治療効果のモニタリングに役立ちます。しかし、CRPはあくまで一つの指標であり、診断にあたっては、他の検査結果や臨床症状も総合的に判断する必要があります。

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