CASIOPEA (アルバム)

『CASIOPEA』

日本のフュージョンシーンにおいて一時代を築いたバンド、カシオペアの出発点となったセルフタイトルアルバム『CASIOPEA』は、彼らの記念すべきデビュー作品です。このアルバムは、単にバンドの音楽的才能を示すだけでなく、制作過程においても当時の日本の音楽業界としては画期的な、国際色豊かな手法が取り入れられました。

制作の背景とプロセス

本作の制作は、まずリズムセクションの録音から開始されました。この重要な工程を担ったのは、数々の名盤を手がけてきた著名なレコーディング・エンジニア、アル・シュミットです。彼の卓越した技術によって、カシオペアのメンバーによるタイトでグルーヴ感溢れるリズムトラックが捉えられました。

リズム録音の後、制作の舞台はニューヨークに移されます。ここで、アルバムに彩りを加えるホーンセクションとストリングスがオーバーダビングされました。ホーンセクションには、ランディ・ブレッカー（トランペット）、マイケル・ブレッカー（テナー・サクソフォーン）というブレッカー・ブラザーズと、デイヴィッド・サンボーン（アルト・サクソフォーン）という、当時既に世界的に高い評価を得ていたトッププレイヤーたちが参加。これらの強力なホーンセクションは、日本の音楽家である深町純の指揮のもとでレコーディングが行われました。また、ストリングスセクションには「"Tomato" strings」が参加し、サウンドに深みと広がリを与えています。このように、日本とアメリカ、そして国境を越えた一流ミュージシャンやエンジニアの協力によって、アルバムは完成に至りました。

参加ミュージシャン

アルバムの核となるカシオペアのメンバーは以下の4人です。

野呂一生: エレクトリックギター、ボーカル
向谷実: ピアノ、シンセサイザー（YAMAHA EX-1を使用）、ヴィブラフォン
桜井哲夫: ベース
佐々木隆: ドラム

彼らに加え、前述の豪華なゲストミュージシャンが参加しています。

ホーン:
ランディ・ブレッカー（トランペット）
マイケル・ブレッカー（テナー・サクソフォーン）
デイヴィッド・サンボーン（アルト・サクソフォーン）
ストリングス:
"Tomato" strings

ホーン・アレンジは深町純が担当し、ストリングス・アレンジは乾裕樹が手がけています。

スタッフとクレジット

本作の制作には多くのスタッフが携わりました。

エグゼクティブ・プロデューサー: 村井邦彦、川添象郎
プロデューサー: 沢田信二、小尾一介

レコーディング・エンジニアとしては、スタジオアルファでの録音をアル・シュミット、吉沢典夫、寺田康彦が担当。アシスタント・エンジニアは小池光夫が務めました。ニューヨークのパワー・ステーションでの録音はニール・ドーフスマンが手掛け、ジェイムス・ファーバーがアシスタントを務めました。ミキシング・エンジニアは寺田康彦です。

アルバムのアートワークはALPHABET (nh ad system)がアートディレクションとデザインを担当。写真はShigeru Wada、イラストレーションは大久保敏邦がそれぞれ手掛けています。

デビュー作としての意義

『CASIOPEA』は、カシオペアが日本のフュージョンシーンに登場した最初の作品であり、彼らの洗練された演奏技術と作曲能力が既に高いレベルにあったことを示しています。また、世界的なプレイヤーやエンジニアとの共同作業によって制作されたことは、当時の日本のフュージョンバンドとしては非常に挑戦的であり、その後の活動における国際的な視野の広がりにも繋がる重要な一歩となりました。このアルバムは、カシオペアの長く輝かしいキャリアの礎を築いただけでなく、日本の音楽史においても特筆すべき作品として位置づけられています。

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