コールチク

コールチク CIWS

コールチク（露：Кортик）は、1988年に開発されたソ連の近接防空システム（CIWS）で、特にその独自の設計が特徴的です。輸出用にはカシュタン（露：Каштан）という名称が使われ、NATOではCADS-N-1として知られています。このシステムは、機関砲と対空ミサイルが一体化されている世界唯一のCIWSであり、GRAUコードは3M87に該当します。

設計と構造

コールチクは、モジュール方式を採用しており、主に射撃管制モジュールと通常2つの戦闘モジュールで構成されています。管制モジュールは、敵の脅威を探知し、識別装置の情報と照合しながら、射撃モジュールおよび戦闘モジュールに目標データを送信します。この管制モジュールは、全天候型の3次元レーダーを備え、多数の目標に同時に対応できる能力を有します。

各戦闘モジュールは独自のレーダーと光学装置を持ち、自動で敵を追尾しながら、砲とミサイルで攻撃します。具体的には、6K30GSh 30mmガトリング砲と、ツングースカで使用されている4連装の9M311ミサイル発射機をそれぞれ2基ずつ搭載しています。ミサイルは、各発射機に24発か32発を装填可能で、混合システムにより幅広い防御力を提供します。ミサイルの有効射程は1,500から10,000メートルであり、有効高度は6,000メートルに達します。一方、機関砲の交戦距離は500から4,000メートル、最大高度は3,000メートルです。その発射レートは毎分10,000発に及び、ミサイルのリロードには90秒を要します。また、光学管制装置を通じて、水上艦艇や地上目標に対する攻撃も可能です。

運用と搭載艦艇

コールチクは、ソ連およびその後のロシア海軍の艦艇、特に空母「アドミラル・クズネツォフ」やキーロフ級ミサイル巡洋艦、ネウストラシムイ級フリゲートなどに搭載されています。輸出型のカシュタンも、かつては9M311ミサイル発射機を外した形で提案されていましたが、現在ではミサイルを搭載した型も販売されており、インド海軍と中国人民解放軍海軍がこれを使用しています。ただし、彼らの艦船で使用されるCIWSの主流はAK-630や730型です。

さらに、コールチクには後続機種として、パーンツィリ-S1をもとにした艦載型が今後採用される予定です。

型式

• - カシュタン: 基本型
• - カシュタン M: 改良型で、射程5kmのGSh-6-30KDを搭載、ミサイル射程の延長やセンサーの改善が行われている。
• - パラシ/パルマ: コールチクの改良型で、輸出用に設計された新たな防空システムです。ミサイルはレーザー誘導方式の9M337「ソスナ R」を使用します。

搭載艦艇一覧

• - ロシア海軍: 空母アドミラル・クズネツォフ、キーロフ級ミサイル巡洋艦、ウダロイII級対潜艦など。
• - インド海軍: タルワー級フリゲート。
• - 中国人民解放軍海軍: ソヴレメンヌイII型駆逐艦。
• - ベトナム人民海軍: ゲパルト型フリゲート。

諸元

• - 目標高度: 5-4,000m
• - ミサイル最大速度: 600–900 m/s
• - 同時対応能力: 最大6目標
• - 射撃レート: 10,000-12,000発毎分
• - 弾種: 30mm破片効果榴弾
• - 重量: コールチクは15,500 kg、パラシ/パルマは6,900 kg（ともに弾薬と管制システム込み）

コールチクは、多目的な防空システムとしての特性を持ち、現代の海上戦闘において重要な役割を果たしています。

もう一度検索