Cinavia

Cinavia（シナビア）とは

Cinaviaは、Verance社が開発したアナログ透かしおよびステガノグラフィーシステムで、当初はVCMS/AV（Verance Copy Management System for Audiovisual Content）と呼ばれていました。1999年から開発が始まり、2010年にリリースされました。この技術は、主に劇場公開映画やブルーレイディスクなどのメディアにおける不正コピーを防止するために使用されます。

2012年以降、すべての民生用ブルーレイディスクプレーヤーにはCinavia透かし検出機能の搭載が義務付けられ、また、BDレコーダーでムーブバックを行う際にもCinaviaのチェックが入るようになりました。PlayStation 3（Ver. 3.10以降）などの一部の機器では、より早い時期からCinaviaのチェック機能が搭載されていました。

Cinaviaの概要

Cinaviaは、メディアのアナログ音声に記録された透かしを検出することでコピーを防止します。この技術は、偽造コピーだけでなく、フォーマットシフトなどの合法的なコピーも防止することを目的としています。主にコロンビアピクチャーズやユニバーサルピクチャーズの原語版音声に透かしが埋め込まれています。

Verance社によると、Cinaviaの透かしはマイクを通した録音や圧縮・エンコードに耐えられますが、人間の聴覚には感知できず、音質に影響を与えることはないとされています。透かしが埋め込まれたメディアをCinavia検出機能を持つシステムで再生すると、システムは透かしを検出し、その透かしに対して再生が許可されているかを確認します。

許可されていない場合、例えば映画館での録画物の再生や、AACSが無効化された市販のブルーレイディスクのコピーなどの場合には、デバイスに再生が許可されていないことと、Cinaviaのウェブページで詳細情報を閲覧するようメッセージが表示されます。メッセージが表示されると、音声がミュートになったり、再生が停止したりすることがあります。

Cinaviaのメッセージ

CinaviaとAACSのシステムが介入した後、透かしが検出された状況に応じて4つのメッセージが表示されます。

メッセージコード1：再生停止
劇場やホテルで配給されたオーディオコンテンツを民生用再生機器で再生しているときに表示されます。
メッセージコード2：コピー停止
劇場やホテルで配給されたオーディオコンテンツを民生用録音機器で録音しているときに表示されます。
メッセージコード3：音声がミュート
民生用オーディオコンテンツを光ディスクから再生するときに、ディスクの中央に一致するAACSキーが存在しない場合に表示されます。
メッセージコード4：コピー停止
民生用録音機器で民生用オーディオコンテンツを録音しているときに表示されます。

BD再生用ソフトウェアやレコーダー、ゲーム機などでは、メッセージコード1と3の搭載が義務付けられる傾向にあります。ただし、Cinaviaの搭載が義務付けられているのはBDプレーヤーのみで、USBメディアなどからの再生には適用されない場合があります。

ライセンス

Cinaviaの所有者であるVerance社は、エンターテインメント業界とライセンス契約を結ぶことで収益を得ています。ブルーレイディスクプレーヤーのメーカーは、Cinavia検出システムを組み込む権利として1万ドルから30万ドル、さらに実装のための追加ソフトウェア費用をVerance社に支払う必要があります。制作会社は透かし入りのオーディオトラックごとに50ドル、配給会社は透かし入りのコンテンツを含むディスクごとに0.04ドルを支払う必要があります。

Cinaviaの技術

Cinaviaの透かしは、以下の特徴を持っています。

検出に必要な音声は1チャンネルのみです。
マイクを通した再録音にも耐えられます。
記録されたコンテンツの制作、複製、配給、放送、消費者の取り扱いによって検出できます。
同じ作品の異なるバージョンを識別できます。
一般的なオーディオ形式変換、可逆圧縮、アナログ歪みにも耐えられます。

Cinaviaは、オーディオ信号内に隠されたデジタルデータを、周波数領域でのスペクトラム拡散位相歪みを利用して埋め込みます。これにより、ノイズや歪みに強く、人間の聴覚には感知されない透かしを実現しています。透かしの検出には、一定期間の信号監視が必要で、統計的相互相関によって畳み込み符号を復元します。

ブルーレイディスクへのCinaviaの実装には、劇場公開版と市販版の2種類の透かしが使用されています。劇場公開版の透かしは、カムレコーディングなどの不正コピーを識別するために使用され、市販版の透かしは、AACSキーと照合することで、リッピングされたコピーを検出します。

DVD-AudioにおけるCinavia

DVD-Audioで使用される透かしシステムでは、15秒あたり3透かしデータビット（2CCIビットと1SDMIトリガービット）のデータスループットが要求されます。CCIビットはデジタルコピー制御情報を、SDMIビットはSecure Digital Music Initiativeデータを含みます。

Cinaviaの歴史

2009年6月、AACSのライセンス契約が更新され、市販のブルーレイディスクプレーヤーでのCinavia検出が必須となりました。同年7月には、オープンソースのDVDオーディオ透かし検出・除去プログラムが公開されました。

2013年以降、サードパーティーのソフトウェアサプライヤーによってCinaviaメッセージのトリガーを回避する試みが行われてきましたが、オーディオからCinavia信号を完全に除去する試みは難しいとされていました。しかし、同年8月には、オーディオファイルからCinavia信号を検出・除去する方法が発表され、実際にCinavia信号を除去するソフトウェアも登場しました。

まとめ

Cinaviaは、映画やブルーレイディスクの不正コピーを防止するための重要な技術です。その検出の仕組みや技術的な詳細を知ることで、Cinaviaがどのように機能しているかを理解できます。

外部リンク

Cinaviaお客様情報センター

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