DVD Decrypter

DVD Decrypterとは

DVD Decrypterは、Microsoft Windows上で動作する、DVDのディスクイメージを抽出（リッピング）するためのフリーソフトウェアです。主にDVD-Videoのバックアップを作成する目的で使用されていました。このソフトウェアの特徴は、ノルウェーのヨン・ヨハンセンが開発したDeCSSをベースにしたCSS（Content Scramble System）解除機能を実装している点です。これにより、CSSによって暗号化されたDVDのデータをデコードし、ディスクイメージとして抽出することが可能でした。

機能

DVD Decrypterには、ディスクイメージの抽出だけでなく、ISOイメージのDVDメディアへの書き込み機能や、ディスクイメージのリージョンコード変更ツール（リージョンコードエンハンスメントの除去を含む）、ユーザー操作禁止項目の除去ツールなど、様々な機能が付属していました。これにより、DVDのコピーや編集が比較的容易に行えました。

CSSについて

CSSは、DVDのコンテンツを保護するためのアクセスコントロール技術であり、コピーコントロール技術とは異なります。しかし、DVD Decrypterを利用して抽出されたディスクイメージが、WinnyやShareといったファイル共有ソフトを介して違法にアップロードされる問題が発生しました。

入手と現状

2006年1月時点で、DVD Decrypterの公式サイトは閉鎖されており、公式からのダウンロードは不可能となっています。しかし、ミラーサイトや書籍・雑誌の付録などから入手することが可能です。日経PC21の2009年3月号では、「マクロビジョン保護を除去」のチェックを外す形でDVD Decrypterが紹介されています。また、DVD-Videoをリッピングしてハードディスクに保存したISOイメージは、仮想CD/DVD-ROMドライブ作成ソフトを使えば、DVDメディアに書き込まなくてもWindows Media Playerなどのメディアプレーヤーで再生できます。

開発終了とリッピングの違法化

DVD Decrypterの開発は既に終了しており、最新のDVDタイトルには対応していないことが多いです。さらに、日本では2012年6月20日に著作権法が改正され、DVDなどに用いられる「CSS」のような暗号型技術を回避する行為が、著作権法上の「技術的保護手段」を侵害する行為として違法となりました。これにより、CSS等の保護技術を回避してのDVDのリッピングは私的複製の対象外となり、違法行為となります。ただし、CSS等の保護技術が使われていないDVDのリッピングは、改正後も従来と変わりありません。また、CSSを回避するプログラムや装置の提供も規制され、刑事罰の対象となりました。

関連情報

DVD Decrypterの後継ソフトウェアとして、作者によるImgBurnがありますが、ImgBurnにはCSS等の解除機能は搭載されていません。

その他関連する技術やソフトウェアとして、マクロビジョン、Content Scramble System (CSS)、不正競争防止法、DeCSS、DVDFab HD Decrypter（類似機能を持つが直接の関係はない）、DAEMON Tools、Qrpffなどが挙げられます。

外部リンク

• - The Official DVD Decrypter Website（閉鎖された公式サイトのInternet Archiveによる[ウェブアーカイブ]]）
• - [音楽配信メモ — なんで DVD コピーは「違法」なの！？（日経クリック 2003年10月号）
• - 妖精現実フェアリアル内リッピングに関しての考察

まとめ

DVD Decrypterは、その強力なCSS解除機能により、DVDのバックアップを容易にするソフトウェアとして広く利用されてきました。しかし、著作権法改正によりリッピング行為は違法となり、現在ではその使用は慎重に行われるべきです。技術の進化とともに、著作権保護に関する法規制も変化しています。利用者は常に最新の法規制を理解し、適切なソフトウェアの使用を心がける必要があるでしょう。

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