EE-11 (装甲車)

EE-11 ウルツ：ブラジル製装甲兵員輸送車の詳細

EE-11 ウルツ（Urutu）は、ブラジルのEngesa社によって設計・製造された装甲兵員輸送車（APC）です。その名称は、ブラジルに生息する毒蛇の一種に由来します。

開発の経緯

1970年代、Engesa社はEE-3 ジャララカ装甲車の後継として、新たな装甲兵員輸送車の開発に着手しました。その結果生まれたのがEE-11 ウルツです。開発にあたっては、部品の多くに民生品を流用することでコストを抑制し、また、同じEngesa社が開発したEE-9 カスカベル装甲車との間でコンポーネントを共通化することで、整備性の向上と部品供給の効率化を図りました。

EE-11は1974年から生産が開始され、1990年までに1719両が製造されました。

特徴と運用

EE-11 ウルツは、EE-9 カスカベルとともに、主にラテンアメリカ、中東、アフリカなどの第三世界諸国に輸出されました。イラン・イラク戦争などの実戦にも投入され、ソ連製のBTR-60やBTR-70と同等の能力を持ちながら、運用コストが低いことが実証されました。これにより、多くの国々で採用され、様々な紛争地帯でその姿を見ることができました。

現在、ブラジル陸軍が保有するEE-11は、2012年から配備が開始されたVBTP-MR グワラニ装甲兵員輸送車への更新までの間を埋めるため、サンパウロ工廠において近代化改修が行われています。これにより、通信機器やセンサー類のアップデート、装甲の強化などが施され、延命措置が図られています。

退役が進められている理由としては、現用の徹甲弾に対する防御力の不足が挙げられます。しかしながら、ブラジル陸軍は国際連合ハイチ安定化ミッション（MINUSTAH）にEE-11を多数投入するなど、依然として運用を続けています。

採用国

EE-11 ウルツは、以下の国々で採用されています。

ブラジル - 723両（陸軍と海軍）
イラク - 148両
アラブ首長国連邦 - 132両
ヨルダン - 82両
コロンビア - 56両
リビア - 40両
ベネズエラ - 38両
チリ - 37両
エクアドル - 32両
アンゴラ - 24両
チュニジア - 18両
スリナム - 16両
ボリビア - 12両
パラグアイ - 12両
ガボン - 11両
ジンバブエ - 7両

関連項目

装輪装甲車
装甲兵員輸送車
EE-3 ジャララカ
EE-9 カスカベル

外部リンク

Military-Today.com （英語）
ArmyRecognition.com （フランス語）

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