EarthCARE

EarthCARE（アースケア）

EarthCARE（アースケア）は、欧州宇宙機関（ESA）と日本の宇宙航空研究開発機構（JAXA）及び情報通信研究機構（NICT）が共同で開発した地球観測衛星です。この衛星プロジェクトはEarthCARE計画として知られており、全球的な雲およびエアロゾルの鉛直分布を把握することを目指しています。雲やエアロゾルは気候変動の重要な要因でありながら、二酸化炭素に比べて科学的理解が進んでいない分野とされています。そのため、EarthCAREはこれらの三次元構造をモデル化し、気候変動予測の精度を向上させることを狙っています。

この衛星は2024年5月にスペースXのファルコン9ロケットによって打ち上げられる予定で、打ち上げ後の愛称には「はくりゅう」が選ばれています。これはESAによって英語に訳された「White Dragon」という名称でも知られています。

EarthCARE計画の経緯

EarthCARE計画は、ESAの地球観測プログラムである「ザ・リビング・プラネット・プログラム」における第6次Earth Explorerミッションとして、2003年に選定されました。このミッションは、地球観測のために設計されており、GOCE、SMOS、ADM-Aeolus、CryoSat-2、SWARMプロジェクトに続くものです。日本では、海洋地球観測探査システムの一部として位置づけられ、国の基幹技術として重要な役割を果たしています。具体的には、二酸化炭素観測衛星「いぶき」や、降水観測計画「GPM/DPR」、水循環変動観測衛星「しずく（GCOM-W）」などの衛星プロジェクトとも連携しています。

2008年6月に、EarthCAREの打ち上げは当初2013年に予定されましたが、2017年、2019年、2022年、2023年と数度にわたって延期されることとなりました。基本設計審査の際に大気ライダーの設計に問題が発覚したため、これらのタイムラインの変更が余儀なくされました。

主要な観測装置

EarthCAREにはいくつかの重要な観測機器が搭載されます：

• - 大気ライダー（ATLID）：ESAが開発したLIDARで、エアロゾルや薄い雲を観測するのが主な機能です。
• - 雲プロファイリングレーダ（CPR）：JAXAとNICTが共同開発したもので、95 GHzのドップラー計測機能があり、主に厚い雲の内部構造とその鉛直速度を観測します。
• - 多波長イメージャ（MSI）：ESAによって設計されており、幅150 kmの範囲でさまざまな波長で水平観測を行います。
• - 広帯域放射収支計（BBR）：ESAが開発したもので、衛星の前方、後方、直下の3方向からの放射輝度を測定します。

その他の関連衛星

日本は、気候変動モニタリング衛星「しきさい（GCOM-C）」を2017年12月に打ち上げており、この衛星は主に全球の水平分布を測定しています。一方、EarthCAREは主に鉛直方向の分布を観測することに特化しています。また、米国のNASAによっても、クラウドサットとCALIPSOという2機の雲・エアロゾル観測衛星が打ち上げられており、EarthCAREはこれらの観測を引き継ぐ形で展開される予定です。

コラボレーション企画

2024年5月10日、JAXAはバーチャルYouTuber「宇推くりあ」とのコラボレーション企画を発表しました。詳細は同月16日に公開され、EarthCAREの打ち上げライブ配信に宇推くりあが特別ゲストとして参加することが明らかになりました。この新たな試みは、衛星の科学的データを広く一般に伝えるための一環として期待されています。

EarthCAREは、気候変動に対する理解を一層深める上で、大変重要な役割を果たすと考えられています。

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