SMOS

SMOS（スモス）: 地球観測衛星

SMOS（スモス）は、2009年に欧州宇宙機関（ESA）がフランス国立宇宙研究センター（CNES）やスペイン産業技術開発センター（CDTI）と連携して打ち上げた地球観測衛星です。その名の通り、SMOSは「Soil Moisture and Ocean Salinity」の頭文字を取ったもので、土壌中の水分量と海洋の塩分濃度の観測を主な目的としています。

概要

SMOSは、ESAの地球観測計画「Living Planet Programme」の一翼を担い、2003年に承認されました。これは、気候変動や水循環の理解を深めるために開発された重要なプロジェクトの一部であり、SMOSはその中で第二の地球観測衛星として位置づけられています。衛星は、土壌水分を3日ごと、海洋塩分濃度については30日ごとに観測し、そのデータを継続的に更新します。

これらの情報は、気象モデルの理解を高め、気候変動や異常気象に関するメカニズムの解析、さらには気象予報の精度向上に寄与することが期待されています。SMOSは地球全体を網羅的に観測し、その結果をもとにして科学者たちは様々な研究を行っています。

衛星の設計と打ち上げ

SMOSのプラットフォームは、タレス・アレーニア・スペース社によって製造された立方体の構造を持ち、各辺の長さは1メートルです。この衛星には、EADS CASA Espacioが製作した干渉型放射計が取り付けられています。Observational payloadとして使用されるのは、地球から発せられる電波（Lバンド）を受信するために設計された、各8メートルの長さの小型アンテナを位相配列したアームの3枚で、Y字型に展開されます。

SMOSは2009年11月2日にプレセツク宇宙基地からロコットロケットにより、技術実証衛星PROBA-2と共に打ち上げられました。衛星は、高度758kmの太陽同期軌道に投入され、軌道傾斜角は98.4度です。衛星の運用は、フランスのトゥールーズ宇宙センターで行われ、データの解析はスペインの欧州宇宙天文学センター（ESAC）が担当しています。予定されたミッション期間は3年以上とされており、今後の観測成果が期待されます。

観測機器

SMOSの観測機器の中でも代表的なのが、合成開口マイクロ波イメージング放射計（MIRAS）です。MIRASは、地球表面から放射されるマイクロ波の強度が土壌水分や海洋塩分の分布によって変わることを利用しています。具体的には、波長21cm、周波数1.4GHzのマイクロ波を使用し、その放射分布を干渉計で捉えることによって、土壌水分や海洋塩分のプロファイリングを行います。

MIRASは、直径16.5cmの小型アンテナを69個配置しており、その中には衛星本体に取り付けられたものと3本のアームに配置されたものが含まれています。さらに、土壌水分については空間分解能50km、精度4％を実現しており、海洋塩分では200km四方の平均で1リットル中0.1グラムの濃度差を検出可能です。

関連項目

• - 水循環：水の循環過程についての研究。
• - 海洋大循環（熱塩循環）：海洋の塩分や温度の分布がもたらす流れ。
• - アルゴ計画：アルゴフロートと連携し、海水塩分濃度に関する観測及び較正が行われるプロジェクト。

SMOSは、地球環境の理解を深めるための重要なツールであり、未来の気候研究に大きな影響を与えることが期待されています。

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