Emmy

Emmy（エミー）

『Emmy』（エミー、Emmy THE FUNNY GAME）は、1984年に工画堂スタジオが開発し、アスキーから発売されたコンピュータゲームです。工画堂スタジオが初めて市販ゲームソフトに関わった作品として知られています。

概要

本作は、主人公の女性、Emmyとチャットのような感覚で会話を進めるゲームソフトであり、「ファニーゲーム」や「人工知能型ゲーム」などと銘打って発売されました。名前の由来は機能を模倣するという意味の "emulation" から来ており、ゲーム内容は会話が進むにつれて画面に登場するEmmyの姿勢や服装が変わっていくというものです。

システム的には、入力された会話を逐次データベースとして記録し、それを後の会話に反映するという、ある程度の学習能力を持った人工無脳と言えます。会話内容は、プリンターから出力することもできました。

当時のPC-8000シリーズのスペック（解像度160×100ドット、同時発色数8色）でのグラフィック描画や、フロッピーディスクドライブがさほど普及していない時期にディスク版専用ゲームソフトとして発売されたことも、注目を集めました。

制作の背景

本作は、プログラマーの永井知彦氏が東京学芸大学の授業で作った作品が元になっています。工画堂スタジオのスタッフ・鬼羅あきら氏（本名・谷亮氏）のいとこで、のちに同社の社長を務める谷逸平氏によれば、鬼羅氏のおじ（逸平氏の父）で東京学芸大学の教員でもあった谷欣伍氏を通じて両者が出会い、工画堂スタジオで『Emmy』の原型にグラフィックを追加するなどの作業をしてからアスキーに持ち込んだのではないかと推測しています。ただし、これでまだ完成ではなく、制作者たちはアスキーの開発部隊で作り直すつもりだったとされていますが、アスキーが作り直したものは制作者にとって不本意なものだったことから、自分たちのアルゴリズムで作りたいという思いから『Emmy II』が作られたとされています。

評価

ライターの佐々木潤氏は、ニュースサイト「Akiba PC Hotline」に寄せた80年代中期のアダルトゲームの記事の中で、この当時のアダルトゲームはじゃんけんといった勝負事のご褒美として性的な一枚絵がみられるという仕組みがほとんどであり、本作の場合も勝負事の部分を会話に置き換えたようなものだと指摘しており、ここに黎明期のアダルトゲームのかたちを考えるポイントがあると述べています。

EmmyII（エミー2）

続編にあたる『EmmyII』では、PC-8801/mkII対応版、FM-7対応版、MSX2対応版が発売されました。

ゲームシステムは基本的に前作と同じですが、PC-8801版とFM-7版では解像度640×200ドット、同時発色数8色とグラフィック性能が向上したことにより、描写が大きく改善されています。PC-8801版とFM-7版では金髪の欧米人風のキャラクターデザインでしたが、MSX2版ではBeepでモデルを務めていた池内利栄氏の実写取り込み画像が用いられた代わりに、ポーズが変わるだけで脱衣はしなくなりました。

タイトルロゴはソフト初起動時に『VIRGIN II』と表示され、会話の記録が一度でも行われると、取り消して『VERSION II』となる演出があります。

関連作品

北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ|北海道連鎖殺人_オホーツクに消ゆ: 本作をパロディとした女性がホステス役として登場します。
A・Iが止まらない!: ヒロインのサーティの誕生が本作を思わせる設定となっています。

外部リンク

EmmyII for MSX2（プロジェクトEGG）
日本最古、もしかしたら世界最古のギャルゲー『EMMY』 - ウェイバックマシン
* MSX2版EMMYIIのモデルさんのFacebookページ

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