Fi 167 (航空機)

Fi167: ドイツの艦上爆撃機

Fi167は、第二次世界大戦前にドイツのフィゼラー社（Gerhard-Fieseler-Werke）によって開発された艦上爆撃機です。主に、ドイツ初の航空母艦「グラーフ・ツェッペリン」に搭載するために設計されました。この機体は、1936年から始まった空母建造計画に伴い、多目的な艦上機としての開発が進められました。

開発の経緯

Fi167の開発は、グラーフ・ツェッペリンが建造される過程でスタートしました。目的は、爆撃、雷撃、偵察など、さまざまな任務をこなす艦上機を作り出すことでした。同時期に競合機としてAr195が存在しましたが、Fi167はアプローチや設計に違いがあり、最終的には正式に発注を受けることになりました。

この機体は、単発の複座機で、翼間支柱が2張間の複葉機です。自動スラットを備えた上翼と、大型のフラップを装備した下翼はSTOL（短距離離着陸）性能を高めています。また、主脚は固定式で、緊急時には投棄することが可能でした。

可動状況と評価

1940年の夏までに12機が稼働状態となり、評価のために実験飛行隊が組織されましたが、空母の建造中止により、部隊はオランダに移動し、沿岸作戦での運用評価が行われました。1942年に空母の建造計画が再開されたものの、Fi167の需要は減少し、既存の機体が運用されることになりました。

Fi167は、この時期にオランダ海軍の沿岸飛行隊にも配属され、1943年にはクロアチア独立国へ売却されました。特に、優れた短距離離着陸性能は評価され、1944年から戦争終結までの間に、包囲されたクロアチア軍に補給品を運ぶ任務に従事しました。

戦闘の記録

1944年10月10日、シサク近郊でクロアチア独立国空軍のFi167が、英空軍のマスタング Mk IIIの攻撃を受けました。搭乗員たちは、撃墜される前に敵機を1機撃墜する快挙を達成しました。これは第二次世界大戦において最後の複葉機による撃墜記録とされています。

テスト運用と最終的な運命

残りのFi167は、チェコスロバキアのブトヴァイスにあるドイツ空軍実験研究所で、降着装置のテストに使用されました。主翼の面積が大きく、着陸速度が低いため、この機体は様々な実験に適したものでした。特に高翼面荷重のテストにおいては、下翼が取り外され、テストが行われました。

しかし、Fi167は今では現存しておらず、その姿を観ることはできません。歴史的に重要な軍用機であったこの機体は、独自の役割を果たしつつ、時代と共にその使命を終えました。今後も、Fi167の歴史は航空機の開発や戦争の技術史の中で語り継がれていくことでしょう。

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