G'zOne TYPE-R

G'zOne TYPE-R（A5513CA）とは

G'zOne TYPE-R（ジーズワン タイプアール）、型番A5513CAは、カシオ計算機（現：カシオ日立モバイルコミュニケーションズ）が開発し、KDDIと沖縄セルラー電話のauブランドから発売されたCDMA 1X対応の携帯電話です。2005年7月に登場し、耐水性能（JIS保護等級7相当）と耐衝撃性能を兼ね備えたG'zOneシリーズの機種として、その堅牢さが大きな特徴です。

開発の背景と特徴

G'zOneシリーズは、2000年から2001年にかけて4モデルが発売され人気を博しましたが、その後、市場のニーズの変化からしばらく新機種の発表が途絶えていました。しかし、耐水・耐衝撃性能を求めるユーザーからの要望は根強く、約4年ぶりに復活したのがこのG'zOne TYPE-Rです。

この機種の最大の特徴は、シリーズ初となる折りたたみ式ボディの採用でした。折りたたみ式ボディは、構造上、可動するヒンジ部分からの浸水が懸念されました。そこで開発チームは、ヒンジ部分には水が入るものの、内部の液晶や電子基板には浸水しないという画期的な設計を採用しました。

通常、携帯電話の開発は内部の機能設計から始まり、その後に外装デザインが決定されます。しかし、G'zOne TYPE-Rは先にデザインモックアップを作成し、そのデザインに合わせる形で機能が組み込まれていくという、異例の手順で開発が進められました。驚くべきことに、このデザインモックアップは、実際にはカシオ製の他の数機種の外装デザインとして先行して採用されています。

機種名の「TYPE-R」には、「Racing（レーシング）」、「Revolution（革命）」、「Revival（復活）」といった意味が込められています。これは、デザインコンセプトがレーシングをイメージしていることに由来しますが、ホンダの自動車グレード「TYPE-R」とは直接的な関連はありません。

デザインと機能

デザインは、レーシングバイクのガソリンタンクをモチーフとし、十字キーはディスクブレーキのローターを模倣するなど、細部にまでこだわりが感じられます。カラーバリエーションも、レースの世界をイメージした名称が付けられています。また、起動時の効果音には、トヨタ[[自動車]]のワークスマシンであるセルモ・スープラの排気音が使用されており、スポーティな雰囲気を演出しています。

背面には、視認性の高いモノクロ液晶をサブディスプレイとして搭載し、常に時刻を表示します。さらに、ストップウォッチ、タイマー、アラーム、電子コンパスといった実用的な機能も備えています。

落下時の衝撃を和らげるため、3種類の交換可能なプロテクター（ラウンドトップ、スクエアトップ、ハンマーヘッド）が付属し、同梱の六角棒スパナで自由に交換可能です。

この機種は、カシオ日立開発製品としては最後の1X対応機となりました。

歴史

2005年1月6日：「2005 International CES」にてデザインモックが展示されました。
2005年4月11日：JATE（電気通信端末機器審査協会）の認定を取得しました。
2005年5月26日：KDDIから正式に発表されました。
2005年7月22日：北陸・関西地方で発売開始。
2005年7月23日：関東・中国・四国・沖縄地方で発売開始。
2005年7月27日：北海道・東北地方で発売開始。
2005年7月28日：中部・九州地方で発売開始。
2006年1月：販売を終了しました。

海外展開

この機種の類似モデルは、海外でも展開されました。

2005年12月以降、韓国のLGテレコム向けに「canU 502S」として出荷・販売されました。
アメリカのベライゾン・ワイヤレス向けには、外部アンテナを追加し、EV-DOに対応した「NX9200」が2006年5月にFCCの認証を通過しました。

関連情報

カシオ計算機
G'zOne
A5512CA（兄弟機種）

参考資料

カシオのニュースリリース - ウェイバックマシン (2010年2月22日アーカイブ版)
耐水・耐衝撃性能を備えたau携帯電話「G'zOne TYPE-R」の発売について - KDDI株式会社 ニュースリリース - データなし (2012年2月3日時点のアーカイブ)
ケータイ新製品SHOW CASE au G'zOne TYPE-R 2005年7月22日発売 - ケータイ Watch (2014年5月13日閲覧)

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