Geode

Geode (ジオード) とは

Geodeは、AMD（アドバンスト・マイクロ・デバイセズ）が開発・販売するx86アーキテクチャのマイクロプロセッサです。主に組み込みシステム市場をターゲットとしており、その名称は、鉱物に見られる空洞や晶洞石を意味する英語「geode」に由来します。

歴史

Geodeの起源は、1990年代にCyrix（サイリックス）が開発したMediaGXに遡ります。Cyrixはファブレスメーカーであり、製造をナショナル セミコンダクターに委託していました。その後、Cyrixは業績不振によりナショナル セミコンダクターに買収され、MediaGXはナショナル セミコンダクターの製品として販売が続けられました。

アーキテクチャ'>[2003年]]、AMDはナショナル セミコンダクターの組み込み向けマイクロプロセッサ事業を買収し、MediaGXの流れを汲む製品に加えて、AMDのAthlon]ベースの製品もGeodeブランドで販売するようになりました。Geodeは、[[IA-32命令セットを採用し、プロセスの更新に伴い消費電力と製造原価を低く抑えることに成功しました。

アーキテクチャ

GeodeのルーツであるMediaGXは、Cyrixの第5世代x86プロセッサであるCx5x86をベースに開発されました。MediaGXは、IntelのPentiumプロセッサと同程度の性能を持つものの、低消費電力に特化した設計が特徴です。Geodeもこの特徴を受け継ぎ、組み込み用途に最適なプロセッサとして発展しました。

初期のGeodeは、MMXや3DNow!などのSIMD拡張命令に対応していませんでしたが、MediaGXmからはMMXに対応し、Geode GX以降は、3DNow!とMMXの両方に対応しています。Geode NXでは、3DNow! Professionalを搭載し、SSEにも対応しています。また、一般的なIA-32 CPUでは別々のチップセットで提供される機能を1チップに統合（SoC）していることも大きな特徴です。

Geodeは、シンクライアント、インターネットテレビ、組み込みシステムなど、低消費電力が求められる用途に最適とされています。One Laptop Per Child (OLPC) プロジェクトの教育用ノートPCにも採用され、注目を集めました。

Geodeの各シリーズ

Geode GX

Cyrix MediaGXを基本設計とした超低消費電力CPU。
MMX拡張命令と3DNow!拡張命令をサポート。
32KBのレベル1キャッシュを搭載。
ディスプレイコントローラー内蔵。
動作周波数200～300MHz。

Geode LX

Geodeシリーズの中間グレード。より高い処理能力を実現。
0.13μmプロセスルールで製造され、低電圧駆動。
CPU、ノースブリッジ、グラフィック機能を1チップに統合。
DDR-SDRAM対応のメモリコントローラ、2Dグラフィック、PCIブリッジを内蔵。
MS-DOS、Windows、Linuxなどに対応。
シンクライアントや組み込み用途に最適。

Geode NX

モバイルAthlon XP-M (Thoroughbred) をベースにしたノートパソコン向けCPU。
消費電力と発熱量を抑えた設計。
266MHz FSB、128KB 1次 / 256KB 2次キャッシュメモリを搭載。
3DNow! ProfessionalやPowerNow!をサポート。

Geodeの現在

現在、Geodeシリーズは組み込み向けのAMD Fusion APU（Gシリーズ）に置き換えられつつあり、G-T16R APUがGeode NXの後継として位置づけられています。しかしながら、Geodeシリーズは、その省電力性と低コストから、特定の組み込みシステムや教育用デバイスなどで依然として利用されています。

競合製品

VIA C3 (組み込み用途向け)
* Intel Atom シリーズ (コンシューマ向け)


Geodeは、その独自の歴史とアーキテクチャにより、組み込み市場で一定の地位を築いてきました。特に低消費電力と低コストを両立させた点は、組み込みシステムにおいて重要な要素であり、その需要は今もなお存在しています。

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